If you are going to die...

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If you are going to die,in front.

 部屋を片づけていたら、というか、読み終わった本をどこかへ押し込んでいたら、一冊の本が出てきた。寺山修司の『馬敗れて草原あり』だ。いつだったか、古本屋の100円コーナーで見つけたものだ。久しぶりに読み返してみて出てきたのが上の言葉。‘ダンサーズイメージが勝った’ケンタッキーダービーhttp://www.kentuckyderby.com/2005/derby_history/derby_charts/years/1968.html)で四着した、ケンタッキーシェリーという逃げ馬の調教師のコメントという。今となってはどう検索しようとも、上のコメントはネットの上で見つけだせない。あるいは、これを知るのは日本の競馬ファンのみなのやもしれぬ(競馬の名作『みどりのマキバオー』に「ダイインフロント」という逃げ馬が出てきた。つの丸はナイスな競馬ファンだと思う)。
 しかしなんだろう、なんと痛烈な言葉。「もしお前が死ぬのなら、先頭に立って死ね」。ここらあたり、シンザンにまつわる「負けてもいいからウメノチカラの前に出るな」という武田文吾の台詞を思わせるが、禁忌ともされる死すらストレートに繰り出すあたりが強い。
 こうなると、何やら逃げ馬の馬券でも買いたくなってくる。しかし、俺はこのところ逃げ先行より差し追い込みの馬の方が何やら好きになってきており、寺山の分類したところの競馬ファンのパターンに当てはめられつつあるようにも思われる。