松井秀喜には失望した

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ヤ軍以外でも、シーズンへの影響から出場を断念した大リーガーは少なくない。松井が出ないことは、日本代表には確かに痛い。ただこの決断は、大会のあり方自体に疑問を投げかけるものともなりそうだ。

 俺はアンチ巨人である。これはかなりの幼少時のかなりの根深いところから来ているものであって、アンチ巨人ゆえにある種の性格を選び取り、その性格がさらにアンチ巨人を選び取るところの、拡大再生産アンチ巨人構造こそが俺である。そして、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いそのままに、読売グループのやることなすことが憎く、こないだの報知オールスターカップだって行かなかったくらいのものである(大嘘)。そしてもちろん、ジャイアンツの選手などは必然的に嫌悪の箱に入れられてきたのである。
 ところが、ところがですよ。そのジャイアンツの主軸中の主軸であった松井秀喜。彼に対しては、いっさい悪感情が無かった。別にAV師匠だからというわけじゃあない。彼の野球への態度、野球界への態度に快いものを感じたからだ。そして、海を渡り、バットを持って夢を掴んだマツイに心からの拍手を送ったものである。
 ところがどうだろう、この決断は。そりゃたしかに、WBCなんてものはアメリカの上意下達で始まった、ルール的にも怪しいところがありそうな、海の物とも山の物ともわからん代物にすぎない。シーズン前ということもあって、メジャーの選手だって日本の選手だって能力を全開にしたプレーだってできないし、しないだろう。それでもですよ、それだって、本当のドリームチーム、ナショナルチームがみたいと思うファンは少なくないはずでしょうが。野球人気低迷と言われる中で、野球に目を向けさせる大きな舞台に違いがないのも確かでしょうが。イチローと松井が同じチームで力を合わせる。これがどれだけの子どもや大人を夢中にさせることか想像ができないのか、と言いたい。
 むろん、ニューヨーク・ヤンキースの縛りだってあるだろう。しかし、ヤンキースが公に「縛りはない」とアナウンスしてしまった以上、松井が公に「出たい」と言えばそれを通さないわけにはいかない。松井の腹一つで決められることでしょう。もしも契約になにやらあるとしても、それはあってはならない契約のはず。所詮松井も、自分の保身かと思われてもしかたない。それで、あるいは今後はぐくまれていくかもしれない、世界野球の一部に冷や水をぶっかけた。
 むろん、アメリカにも日本にも非協力的な選手もチームもあるだろう。しかし、松井秀喜が出るということは、それらに対するメッセージにだってなりえた。俺は今後松井を心底応援することは二度とないだろう。