空芯菜は中華なべの底のたぎった油の中に、薬研でたたきつぶしたガーリックの荒粒と一緒にぶちこんで炒め(なるべく乱暴に)、皿にとってののち、なべの底に余っている油にオイスターソースを入れてかきまぜる。それを菜の上にたっぷりかけて食す。
『幻世』藤原新也より
先週の金曜日、石川町駅前のスーパーで空芯菜を見つけた。空芯菜といえば、藤原新也の本で正体を知り(id:goldhead:20060116#p1)、ナンプラーと相性がいい(id:goldhead:20060113#p2)という中国野菜である。一袋二百九十八円。タマネギ一袋百七十六円、などと比べると割高に感じてしまうが、せっかくなので購入。
中国野菜ではあるが、出身地は中部地方だった。愛知県のイチローファームとある。検索してみると、googleのキャッシュがひっかかったが、この一郎さんだろう。ハウス栽培をされているようだが、本当は夏の野菜なので十一月に手に入りにくかったのは当然か。
野菜の方は、そのアイデンティティたる中空の茎が節くれ立って存在感があり、葉も若いものがちらほら出てきているところもあり、なかなか旺盛。こうなると、俺の良いか悪いかわからない癖が出てきて、つぼみのようなものがついたのと、太い茎を何本かを植木鉢や水苔にぶっ差す。俺の植木鉢には、わけのわからないまま大きくなった貝割れ大根や、発芽したカキなどが生えている。
さて、どう調理すべきか。『幻世』は職場に置きっぱなしだったので、上のレシピはわからない。しかし、親切なイチローファームの包装に調理法が書いてある。やはり、油+ニンニクというのが基本ラインのようだ。それに、「ガーリックを叩きつぶす」というのは印象にあり、菜切り庖丁の側面で大量のニンニクを潰した。ニンニクは中国産だから、空芯菜の愛知出身とさっ引いてプラマイゼロ。それをたっぷりの油でジューってやって、空芯菜投入どーん。調子に乗ったわけじゃないが、油に火がついてボッとなって本格的気分。それで、すこししおれてきたところでナンプラー。いい感じの匂い。少し火を通しすぎたか。まあいい。
それで、ビールと油ぎった菜を喰いました。油と菜とビールの相性は最高。なかなか芯に歯ごたえがあるのもいい。……ということで、あっという間に喰ってしまった。わさわさと葉があるので、とりあえず袋の半分にしたのだが、俺はいまだに野菜がどれくらい縮むのかよくわからない(何人前かの野菜炒めを作ってしまうこともある)。残りは翌日の昼、ラーメンの具にした。こちらも合う。あとは、値段という折り合いがつけばたまには使いたい野菜ってことになるというところだ。さすがに自家栽培は期待してないので。