忘れないで君がチビノリダーだったときのことを

 「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「食わず嫌い王決定戦」に(長いな)、伊藤淳史が出ていたので思わず見てしまった。何せ伊藤淳史である。今、伊藤淳史とコピペしたわけだが、下の名前の読み方がいまいち自信のない伊藤淳史。とにかく、俺にとってはいまだにチビノリダーだった人なのだから仕方ない。それがとんねるずと共演なのだから、思わず見てしまおうというもの。
 しかし、ひょっとすると、今現在小中高校生はもちろん、大学生ぐらいでもチビノリダーを知らないのかもしれない。もうすぐ三十歳の俺がそれをリアルタイムで見ていたのが、たしか小学校の低学年から中学年。うーん、そんなに昔の話だったか。それはともかくとして、その頃のとんねるずのコントの影響はかなり大きく、仮面ライダーごっこはしないが、仮面ノリダーごっこは嫌になるほどしたと思う。いまだに本家がショッカーであってジョッカーじゃないのに違和感を覚えるくらいだ。
 が、それだけ時が経てば当たり前というか、あのころ俺よりさらに小さかった伊藤淳史君曰く「全く覚えていない」と言うのも当然か。む、なんか前も「全く覚えていない」って言ってたっけな。やはりそうなのか。あんなに特異な経験をしながら……とは思うが、小さなころの記憶がさっくり飛んでしまうというのはよくある話。
 しかし、もちろん木梨と石橋にとっては覚えていないはずがない。こうなると、まるっきりありがちな構図になってくる。すなわち「あまり会わない親戚との会合」である。向こうは自分の親や、自分の小さいころをよく知っているらしいが、こっちはなーんも覚えていない。「まだこんなにちっちゃくて、迷子になってナァ、ガハハー」などと言われても、「はぁ、そうでしたか」としか言えないような感じ。それでも、「肉好きっすから」とか適当に若さ&成長でもアピールしておこうかって感じ。このあたりの若造感がとてもよかった。伊藤淳史は実にワカゾーらしいワカゾーで、あのカロリーメイトのキャッチコピーはよかったと思うし、俺が「電車男」を見たら違和感を感じるだろう。
 そのワカゾーが最初に食ったのが大トロも大トロ、一切れ千六百円の大トロであった。正直、芸能人というのは朝からこんなのを食べてるんじゃないかと思っていたが、伊藤淳史くらいではそうでもないのか。あるいは、とんねるずにとってはどうなのか。そのあたりはよく分からない。ただ、貧乏人としてテレビを見ていて思うのは、勝手に最高級食材をそろえてくれるから、高そうな物を好物に挙げた方が得だな、とかそんな卑しいこと。その点、この日の対戦相手の荻野目洋子はぬか漬けに、納豆、餃子、西京焼きなのだから上品なものだった。しかし、結局二番目の牛乳でワカゾーが負けたわけだけれど、こと食わず嫌いの駆け引きからすると、やはりまだまだ青かったか。
 しかしなんだろう、久々にとんねるずの昔のコントを見て思ったが、動きに動いててすごいな、と。こうなると、またコント見たいとか思わないでもないけれど、やはりとんねるずにも月日は流れている。あのチビノリダーが酒かっくらう立派なワカゾーになっているのだから、往年の動きとテンションは無理だろう。しかし、なんか木梨憲武を見ていると、動き足り無そうな感じがするんだよな。コントとかやりたいんじゃないかとか。なんなら伊藤淳史呼び込んで、とんねるず版「西遊記」なんてのも面白そうだけどな。ああ、なんか普通に見てみたいや。月9の方はもう見ていないけれど、これは。