音のない部屋、孤独の厨

goldhead2006-02-27

 ひとり暮らしをはじめて二年ほど経つけど、私だってけっこう料理ができるようになったな、とか思う。それでもちょっとおっちょこちょいだから、何かが跳ねたり飛んだりするのはしょっちゅうだ。それで、たとえ汚れてもいい部屋着だって、汚れてしまうのはイヤだなって思ったりする。
 それで、私、ダイソーで見つけちゃったのだ、役立つ生活のアイデア。さすがは何でも揃うダイソーって感じで、それは、布でできている作業着で、肩の所はヒモになっていて、上半身からヒザのあたりまでカバーしちゃうのだ。オマケにポケットまでついていて、とっても便利。三百円商品だったけど、これならお買い得だと思う。
 
 ……というわけで、独り暮らしの独身男性がエプロンをするのは不自然ですか? 海は死にますか? はっきり言っておくが、我ながら似合うかもしれないな? それで、だいたいみんな、エプロンについてどれだけのことを知ってるっていうんでしょう? 
http://www.apron.gr.jp/new05/w_apron/w_apr.html(日本エプロン協会)

この「エプロン」という呼び名はさかのぼること13世紀の「アポーン(aporne)」,14世紀になって「ナプロン(napron)」と呼ばれます。そしてこの「ナプロン」のスペル「napron」で「a napron」であるのを「 an apron」と勘違いをして、「an」を除いた「apron」(英語)になったのが由来とされています。

 変な由来の単語もあったものですね。
 さて、エプロン。これは料理中の使い勝手もいい上に、精神的な作用もかなり大きい。有り体に言えば「料理が上手くなったような気がする」。何事にも形から入ることが大切だとかそうじゃないとか言いますが、やはり内が外へ影響するのと同じく、外が内へ影響するのも確かではないかと思う次第です。さらに不思議なことに、料理が終わったあと、エプロンを脱がなければ食事をしようという気が起こらない。スーツとネクタイとままではくつろげないのと同じ感覚。あるいは、コートのまま食事をすることへの違和感に似ている。たかだか布一枚首から引っかけているだけなのに、立派な作業着や制服の感覚があるのですね。これには正直驚きました。
 しかし、これによって合点がいくことが一つあります。裸エプロンについてです。あれも立派なプレスティージュを有する制服に他ならないのではないか、と。そして、澁澤龍彦御大に言われる(id:goldhead:20050208#p4)までもなく、制服は「半分だけ脱がせる」状態が好ましいわけです。しかし、エプロンを半分だけ脱がせても、単にだらしないだけで、あまり意味がない。そこで、裸にエプロンで「半分だけ」を実現せしめたのではないか。どうですか、お客さん。これはもう日本全国エプロン祭りのはじまりです。