コスモバルクよ、サラブレッドよ

http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-060518-0007.html

 14日のシンガポール航空国際C(G1)を制した後、血液検査で帰国にストップがかかったコスモバルク(牡5、北海道・田部)は、現地入り当日の3日に採取された血液が検査に引っ掛かっていたことが17日、分かった。検査は英国で行われており、その対象は家畜伝染病「馬ピロプラズマ病」とされている。

 シンガポールで足止めをされていたコスモバルクだが、その足止めの内容が詳しく報じられた。曰く、「検査陽性、現地殺処分の可能性あり」と。……が、それはどうも(読売新聞あたりの)先走り記事だったらしく、どうもこの日刊スポーツの見出しにあるように‘バルク「伝染病の疑い」に疑問’という見方が大きいようだ(須田鷹雄氏がサイトhttp://www.sudatakao.com/掲示板でそう述べている)。
 が、これだけで胸をなで下ろす、という気にはなれない。俺だって競馬を十年、あるいはたったの十年かもしれないが、まあそれでもそれだけ見てきたのだから、競走馬を見まう悲劇や、あるいは当たり前の行程として存在する死について、それなりのスタンスや心構えもできている。もちろん、構えたところでショックは受けるし、胸がつぶれるような思いをすることもある。その上で競馬をする。しかし、この件はその構えの横腹をつつかれたような気になったのだ。
 GIを勝ったばかりの馬が、心肺の疾患でもなければ、脚の故障でもなしに薬殺の可能性がある―。この意外さ、今まであまり聞いたことのない例(遠くクモワカの話など別にして)。ともすれば、何となく「日本は検疫が厳しすぎるから海外挑戦しにくい」、あるいは「強い外国馬が来日を避ける」などと思ってしまう検疫。それが持つ意味と重要性。
 今の段階でバルクについて無用の心配で騒ぎ立てるのは本意ではないが、しかし、これはあらゆる競走馬を取り巻く環境。ディープインパクトハーツクライだって無縁ではないリスク。そういったことを思わずにはいられない。
 まあ、客観的に見れば、今回は杞憂に終わると見るのが妥当。飛行機酔いなどに気をつけて、早く帰ってきてくれ。