『バージンブルース』監督/藤田敏八

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 小説『マリリン・モンロー・ノー・リターン』を読んで以来、ひそかに私の中でブームになっている野坂昭如。ついでCDに手を出し、そこにも収録されていた名曲「バージンブルース」がタイトルになっている本作にも手を出してみたという次第です。
 とりあえず、秋吉久美子のかわいさを何に例えようか。これは本当に困ってしまう。ふだんはほとんど使わない言葉を使ってしまいましょう、「萌えた」と。これは、一見の価値ありとでも言っておきます。ちなみに言っておきますが、私は今現在の秋吉さんも十二分にいいです。その私が言うのです。ところで、息子より年下の彼氏(id:goldhead:20041001#p4)とはまだ続いているんでしょうか。
 萌えついでにいえば、私は七十年代萌えかもしれない。私は七十年代に弱い。七十年代の日本に一年しか生きていなかったというのに、「これこそ俺の時代だ」とすら思ってしまう。なぜそうなのかはよく説明できないのですが、たとえばこの映画の中の町並み、店、車、電車、何を見ても見入ってしまう。もうメロメロです。あのATM、部屋に一台ほしい。
 もちろん、野坂昭如。本人登場で「黒の舟歌」を歌い上げます。ウイスキーを歌の間にくいっと飲んで、それがもう、かっこよくて参ってしまう。それに主題歌にはもちろん、「ヴァージンブルース」。これらの歌の歌詞をしっかり把握している私は、この二十一世紀にまだ二十代なのだから少しおかしいのかもしれません。
 で、筋はどうなんだ、と言われると、ちょっと困ってしまう。そういう映画と言っていいでしょう。正直なところ、昭和一桁世代とバージン観、七十年代という時代の背景、それにはピンと来ないし、この作品でわかるというものでもないのです。ただただ、秋吉久美子のかわいさと七十年代の風景、それにところどころのバイオレンスに酔った、野坂の歌に酔った。私の感想は、こんなところです。
 あと、この監督ならではなのか、時代なのかわからないけど、電車から登場人物が降りてくるシーンとか、ぜんぜんエキストラとか使ってないうえに、人払いもしていないらしく、普通に芸能人にカメラを向ける人や、パンするカメラのフレームからものすごいスピードで逃げるおばさんなど映っているのが面白いと思った。
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