世界一気が早い謝罪文

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20060905k0000e040056000c.html

 この度は、息子が、あってはならない大変なことをしてしまい多大なご迷惑をおかけし誠に申し訳ありません。人の命を奪うという事はどのような謝罪をしても罪を償っても取り返しがつかない事です。取り戻せないことです。人として絶対に犯してはならない罪です。そんな当たり前の事がどうして分からなくなってしまったのか残念でなりません。

 殺人事件に関わってパニックになるな、とはなかなか言えまい。ましてや、自分の息子が犯人と目され、指名手配までされてしまったのでは。
 でも、この謝罪文はどうだろう。あまりに気が早いというか。直接の目撃者もいないし、まだ法的にも疑いの段階、推定無罪の段階。また、もしも犯人だとしても、くわしい動機や経緯などわからない点はたくさんあるはず。それなのに、ここまで断定、断罪してしまっていいのだろうか、親が。そして、これが世間に公開されてしまっては、もうこの容疑者が生きていたとしても、出るに出られない。追いつめるばかりだろうに。せめて親くらいは、「無罪と信じたい」、「間違いを証明して欲しい」くらいの態度でいなければ、もう、容疑者は帰るところがないんじゃないのか。どうにもそんな違和感を覚える。とりあえず容疑者の身柄確保が第一、という観点からも。
 あと、ニュースなどでも語られているが、この容疑者「少年」の顔も名前も出てこないということ。指名手配といっても警察内部の話。これは法改正が必要ではないか。この件がどうかはわからないが、もっと大勢の人を危険な目に遭わせようという「少年」なんかもいるだろうし、あるいは「逃げ切れるんじゃね」感だって出てこよう。ここは緊急性を重視すべきなんじゃないのかね。逮捕後に急に「少年」になる違和感もあろうが、そんなのは違和感だけの話だし。あと、この件の親は謝罪文を出しているヒマがあったら、「一行方不明者を探す呼びかけ」をしてもいいんじゃないかと思ったりもしたが、まあ、家族親類さまざまの絡む問題だろうし難しいかもしれないが。