K-1 WORLD MAX 2006〜世界王者対抗戦〜

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/k1/live/200609/04/index.html
 全体的な感想。いい試合が多く楽しめた。K-1はこの階級の方がヘビーよりおもしろくなっている。
 アンディ・オロゴン安廣一哉。安廣は総合などにも出て、ついにはオロゴン弟の相手に。ここは負けられないどころか、あっさり勝たねばならないところ。ところがどうだ、アンディ(K-1にはアンディが多くて困る)の落ち着きは。これは、単なるベテランのムエタイ選手だ。クリンチのときの仕草から、攻撃を受けたあとの「効いてない」ポーズまで。こういうのをなんというのだろう、リング勘があるとでもいうのか。観客の前で緊張しないのか。目は最後まで相手を見据え、最後は膝でK.O.狙いに転じるなど、戦い方もクレバー。だから、だからといってすごい素質かどうかはわかりかねる。ただ、そういったあたりの素質があるのは確か。問題は、ボビー・オロゴンとは逆に肉体か。1Rでカウンター気味に膝が顔面をとらえたが、あまり効かない。重さがないのだろうか。でも、バネやスピード、バランスはありそう。これからこのアンディがどうなるかは、よくわからない。話題先行的でなさすぎて華がないとは本人に悪いが。あと、判定は割れていたけど、安廣勝ちでしょう。 
 ブアカーオ・ポー.プラムック宍戸大樹。宍戸はシュートボクシング王者。調べてみたらオーレ・ローセンに勝ったり、アンディ・サワーに負けたりしていた。この試合は、先に宍戸が仕掛けていったところをブアカーオがズドン。あまりにも早く、きれいに終わりすぎた。これも格闘技。
 マイク・ザンビディスTATSUJI。殴り合い噛み合って見応えある試合。俺は回転数多く怪しげな跳び蹴り(シャイニングウィザード?)放つザンビディス好きだけど、どれだけ食らわせてもひるまないTATSUJIもすごい。どっちが勝ったかわからなかったがザンビディスの勝ち。考えてみれば、ダメージ無さげとはいえ、あれだけクリーンヒット食らってたらだめか。でも、最後までよく動いてた。しかしTATSUJI、「アマチュアボクシングのオリンピック候補っていうのは嘘だなと思いました」って発言はまずい。そんなのを指摘したらK-1の土台が崩れる。
 ヴァージル・カラコダ前田宏行。どうでもいいがスポーツナビTATSUJIギリシアになってるし、前田は南アフリカのスティーブズジム所属になってるし(9/5朝現在)、早く直せ。で、調べてみたら前田宏行はちゃんとした日本の三階級王者。日本IBFなどではなく、クレイジー・キム相手に四階級制霸目指して敗れたりしている。その前田、いきなり跳び蹴りから入ってパンチへ。元ボクサーらしからぬ発想。意表を突かれたかカラコダ、ジャブでダウン。解説の指摘通り、スリップ扱いだがもう一回ダウン。結局、まぶたカットでドクターストップも健闘だった。しかしなんだ、解説の畑山隆則が「前田さん」と敬称で呼んでたが、畑山の方が若いのだな。
 須藤元気イアン・シャファーK-1の方が制約が多いから、トリッキーな動きが活かせるという発想は正しいように思える。K-1では一枚足りないミルコ・クロコップが総合で活きるように(総合でも一枚足りないかもしれないが)。でも須藤、この日はいまいち。むしろ、シャファーが普通に強い。それが見事な回し蹴り一閃。いやはや。
 アルバート・クラウス佐藤嘉洋。俺は佐藤の塩漬けスタイルが好きなのだが、この日はうまくいかない。クラウスの間合い。制空権奪われて厳しい。的確なピンポイント打撃を繰り返せず、苦し紛れの膝が多い。こうなっては厳しい。解説は(谷川は)しきりにローのダメージを言うけれど、それほど効いていないように見える。今回は差があった。
 アルトゥール・キシェンコHAYATO。3Rからの放送。3Rだけ見る分にはHAYATO優勢だったようにも見えたが、延長へ。キシェンコはかなり苦しそうになりながらも、最後までやる。19歳、旧ソ連圏のハングリーさか。
 アンディ・サワー小比類巻貴之。どうでもいいが、魔裟斗は解説になると真面目すぎる。亀田一家みたいなのが出てきて、悪キャラ、ビッグマウスキャラはいいかって感じなのかもしれないが。いや、それ以前から「いい人」方向だったかな。で、この日も畑山にサワーの連打を「力を抜いたボクシングの打ち方なんでしょうか」みたいに質問したり、サワーの鋭いローの効果を素直に解説したりと。で、最後には小比類巻について「ここでいかなかったら今までと変わらない」とエール。いい解説だぞ。で、この試合、出だしはともかく、2Rから圧倒的にサワー。あんなに見た目が強くなさそうなのに、この畳みかけの圧力。「強そう」とか「強さ」って何だろうと、このサワーを見るたびに思うのであった。