黒田はえらい。だが、ちょっと待ってほしい。

http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=sports&d=20061108&a=20061108-00000009-dal-spo

 大黒柱の残留を受け、松田元(はじめ)オーナーは改めて、市民球団を支えるファンに感謝を述べた。
 「金以外の価値があることに、心を打たれた人が多い。広島の地域性はよそにはないもの。それに黒田が応えた。ファンと選手の距離が近い。誇らしく思う」

 「金では動かぬ」、「金以外の価値がある」……男黒田(つなげて書くと四股名みたい)の決断を賞賛する声である。球団オーナーですらそう述べている。
 だが、ちょっと待ってほしい。今回広島の提示した条件、出来高含めて四年十二億、出来高抜きで単純に割って年俸二億五千万円。それってそんなに「金」として価値がないのだろうか?
 そりゃあ他球団に行けば確実にもっともらえた。メジャーに行けば、いきなりは無理でも、日本からは考えられない額だって手にする可能性はあった。だけれどもですよ、この論調じゃあまるで広島が黒田に年俸八千万+出来高くらいしか払わんというような印象じゃないですか。年俸二億五千万円、おそらく今シーズンくらい活躍すれば三億、これは本当にたいそうな額であると思うのですよ。現に、今年の推定年俸をざっと見てみれば(http://home.a07.itscom.net/kazoo/pro/pro06/off_top.htm)、三億以上は上原浩治松坂大輔岩瀬仁紀西口文也のわずか四人。二億五千万超級で見てもわずか七人。
 そりゃね、日本プロ野球の人気が鯉のぼり、否、うなぎ登りで、観客も増えて放映権料もウッハウハっていうなら、選手年俸もこのくらいになっていて普通かもしれない。だけれども、身売り合併の球界再編の危機はついこないだで、ほとんどの球団がオーナースポンサーの支援で成り立ってるのが現状でしょう。いくらどこぞのチームは金がある、といったところで、野球以外の収入に頼るところが大きいわけで、興行として身の丈にあった状態にあるわけじゃあない。それがプロ野球の首を絞める。
 だからね、黒田がより高額の条件を蹴ったのは賞賛に値するけれども、それが行き過ぎて、「カープが出さなすぎ」という評価はあまりよくないんじゃないのかと思うわけです。独立採算でやってるカープが、チームの顔であり大黒柱、そして野球界におけるタイトルホルダーに出すこの額、このあたりが上限、とはいわないけれど、適正額として評価されたといっていいんじゃないのかと。
 別に、球界をあげて緊縮傾向にすべし、とまではいわない。あまりに金銭的な夢が無くなれば、次第にそこを目指す人も減るだろうし、レベルダウンすれば客も減ろう。日本プロ野球以外にメジャーって存在もある。だけれども、まあ、選手の年俸ばっかり右肩上がりの膨れっぱなしもねえだろうと。一億の大台が当たり前になって、次は三億、五億ってなっていくならいくで、ちゃんとプロ野球の収入に比例していかんといかんと思うのでした。