これが噂のD-MATだ

http://www.nikkansports.com/baseball/mlb/f-bb-tp2-20061115-117236.html

落札額は約5111万ドル(約60億円=正確には58億8000万円)。過去に入札制度で移籍したイチロー石井一久らを大きく上回る史上最高額となった。

 5111万ドルって中途半端な数字を見て、「公共事業の入札みたいだな」と思った人はどれくらいいるだろうか。俺はそう思った。5001万でもなく5111万、ここにレッドソックスの本気度がうかがえよう。あとはちゃんとこの金が額面通り動くのかどうか、変な密約説が流れないようはっきりさせていくことが必要だろう。
 しかしなんだ、はじめ1500万ドルとか流れたのからはえらい差だ。それでも、レッドソックスにはペイできるという勝算ありということだろうか。ボストン松坂大輔対ニューヨークヤンキース松井秀喜、この目玉商品がもたらす恩恵、日本市場がもたらす恩恵などなど。まあ、単に妨害入札であるというより、そうであってほしいと思う。メジャーリーグのこと詳しくはないが、チームカラーも‘リベンジ’松坂に合っているんじゃないだろうか。
 とはいえ、手放しによろこべる話かどうか。この金額出てきては、読売の補強などかわいく見えてくる。日本プロ野球マイナーリーグ化はよく言われる話だが、たとえ球団を直接支配下におけなくても(野球狂約定無理)、こういった形を前提に、今でもある業務提携で実質的に影響力行使の可能性もあろう。
 でも、それで何がいけないのか、という疑問がないわけでもない。日本人が経営してきて、赤字垂れ流しのこのザマだ。球団統廃合、規模縮小に比べれば、たとえメジャーの傘下だとして存続、繁栄したほうがマシじゃないのか、と。でも、そのためには、ソリアーノのような早い段階でメジャーに渡られては困る。松坂でもちょっと早いくらいかもしれない。メジャーを目指すなら、アマから直チャレンジしてくれ、と。日本野球が最低限今のレベルで続けば、日本経由アメリカ行きを選ぶ方が多いだろう。
 問題は、その腰掛け期間か。そのあたりのルール作り。でも(自分の中で結論が出ていないのででも、でもなのです)、たとえそれなりの期間が設けられようとも、腰掛け感丸出しの選手を応援できるだろうか。ここは難しい。カープファンが感じざるをえない問題でもある。でも、今よりもきっちりルールができた上なら、毎年エースクラスが「ポスティングしてくれ」と表明する必要もないし、逆に言えなくなるだろう。何より、プロにとって大きな要素であるマネーが裏打ちするレベル、これにおいてメジャー>日本であるうちは、選手たちがより高いレベルに挑戦したいという心はあって当然。国民数に裏付けられる市場規模から難しい面もあろうが、いつかリーグレベルにおいて肩を完全に並べられるその日まで、雌伏していくのが策だろう。愛国心というか愛日本プロ野球心、愛球団心に訴えるには限界がある。
 とはいえ、規模の差は大きい。もし、今のメジャーの金銭感覚がちょっとした異常状態、バブルだとしてもだ。とはいえ、軽々しく「アジアリーグ」といったところで、うまく行くものでもない(アジアシリーズが成功しているといえるだろうか)。地道な底上げ、日本であれ、アジアであれ。メジャーが今のところ頂点でいろいろ吸い上げるように、日本も各国から吸い上げる仕組みを模索する。吸い上げるというと言葉は悪いかもしれないが、ボトムアップボトムアップ。世界野球未開の地に種をまき、収穫する努力。たとえばアフリカ! この点において、ガーナ野球普及NGOに寄付金を回している広島カープの先見の明はすばらしい。赤ヘルが全メジャーに比肩する日が一歩近づいた!