あまり認めたくないあることについて気づいた

http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-20061117-117881.html

インパクト失格、池江泰郎師の不注意

  • 一夜明けて、まあ完全納得とはいかないが、この筋で落とすところしかないように思えてきた。「薬剤飛散」は、それ自体あったのは信じるよりないが、その先の、レース直前にディープが「なんか喉がイガイガするねんけど、厩務員も獣医もあの吸い込むやつやってくれへんがな。困ったで。ん? この寝藁にあれのにおいするやんか。ようし、食うたろ」っていうのについては、公式発表としても推測でしかない(いや、食うたろ、でなしに、摂取→残留については)。可能性の一つだ。そこまでしかわからなかった。ある意味、闇の中だが、逆に、意図的な妨害を想像するには、あまりに根拠が乏しく、イプラトロピウムに限らず、フレンチルールくらいはスタッフも把握していただろう。「咳き込み、あえぐ馬の姿を見て耐えきれず……」というような状況だったら、そもそもレース出られないし。
  • 自分が競馬に引き込もうとしてる人とディープインパクトの話題。あまり詳しいとはいえないのに、「寝藁をかえないのが不自然じゃない」と鋭い指摘。その前に、なぜ寝藁をかえるといった話を知っているのか聞くと、ほかでもないティープ関係の密着ドキュメントをニュースで見て知ったと。にわかに関心を持った人だって、侮れないんですよっと。信頼回復への道は遠いか。ところで、なぜかえなかったのか、への回答が「パリアス厩舍からただでもらっているので、無駄遣いしたくなかった」。まあ、そうなのかもしれないが……。
  • でもマスコミのミスリードはある。たとえば競馬放送をするフジテレビですら、今朝の番組で「なぜ禁止薬物を投与したのか?」などという表現をする。フレンチルールにおいて、咳止めも風邪薬も出たらアウト。逆に、日常の治療に普通に使われているわけで。しかし、「禁止薬物」では筋肉増強、興奮剤の類と勘違いされて当たり前で、そこの使い分けをしなきゃ。こういう煽りのあとにIkee師が「ドーピング、不正はない」と言う映像が入っても、「?」と思う人も少なからずいるかもしれない。JRAもあまり大きな顔ができない件だが、そういうところはマスコミに訂正を求めてもいいのではないか。

 さて、ちょっと気づいてしまった、認めたくないことについて。それは、チーム・ディープインパクトの、「案外しっかりしていないじゃん」、ってところ。俺は、このチームに関して、対非競馬ファンアピールという面において、絵に描いたように理想の集団だと思っていた。それが、あの突然の引退会見で崩れたのは不思議にすら思えた(id:goldhead:20061012#p1)。ここまで成功をおさめてきたイメージ戦略が、なぜこうも呆気なくご破算にしてしまうのか、と。日経の野元賢一記者は「崩れた共同体幻想」と表現しているところだ(http://sports.nikkei.co.jp/keiba/column.cfm?i=2006102904466a8)。
 しかし、その一方で、まだ信じたい幻想があった。それは、あのスタッフが日本競馬界一流のプロであるということ。引退におけるメディア戦略には失敗したが、それは本業ではない。騎手と調教師は言うに及ばず、厩務員、調教助手、装蹄師……と。いや、そりゃディープは五冠馬だ。彼らがダメだとは絶対に言えない。むしろ、プロ中のプロであることは間違いない。しかし、だからこそ、そうだからこそ、「ロハで悪いと思ったから寝藁かえなかった」とか、「異国の地での薬剤使用について調教師が把握していない」とかのお粗末、それが残念でならない。厩務員などを信用して任せているから、みたいな体制なのやもしれんが、やはりこれは特殊な大一番でしょう、と。力入れて来てるんだから、フランスの藁買い占めるくらいでいきなさいよ、と。
 まあ、人にとっても慣れない遠征で、いろいろな苦労も絶えず、行き違いなどあったのやもしれぬ。この教訓を糧に、いつか日本の馬が世界の大レースを勝つ日を夢見て……ってこないだのデルタブルースは。つーか、別に池江泰郎師も社台グループも海外初挑戦でもないものな。だからこその油断が生んだ……とか、その責任の取り方を問う必要もあるまい、とか清水成駿みたいなことは言えないけれど、まあ、精進したってください。ジャパンカップでは、一着のところにディープの馬番を塗らん予定です、今のところ。