記された大きな命一文字

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061212-00000411-yom-soci

今年の漢字は「命」…ご出産やいじめ自殺問題など

 命限りの存在としてわれわれは命からがら命がけの生活を送っている、というと大げさだが、とにかく大切なものではある。しかし、親にとっては命代わりの宝物である子がいじめによって、誰かに命乞いするでもなく自殺するなど耐えられぬことであろう。人間、苦境に開き直れば命知らずの反撃を加えられる、命ずくになればなんでもできる……というのも傍観者の発想であり、だからこそ社会が彼らの命綱を用意しなければならない。ちょっとしたつまずきが命取りになるのは、なにも子供に限った話ではないのだし、また、同時にちょっとした支えが命の親にもなりうるのだ。しかし、他人に余裕をもって接するには、なによりも当人が命の洗濯を心がけるなどしておくことが、自他ともに命拾いしていく道であろう。何かの偶然による命冥加を頼るよりは、人間と人間の間でできることをする。これが肝要で、偶然に命運をかけることはできない。運が無ければ命根絶えて、これが命数であったという悲観論は否定されるべきではないだろうか。なにはともあれ、今年はこの文字で命題されたといってもいいわけで、票数を見れば大多数の人の予想が命中したというわけでもないようだけれど、だからといって今日が「今年の漢字」の命日でもなく、また、命脈を絶っていいというものでもない。主体は漢検なのか清水寺なのかわからないが、変な命名権もくっついていないようだし、積み重ねることによって価値の出るものと思う。この項だって、命命鳥に命令されて書いているわけでもないけれど、勝手に一命を受けた気になって一生懸命になっているのだが、後方一致の方が数多くてうんざりしたのでここまで。