職場の新聞から広告を取り分けているおりに、マクドナルドの折り込みクーポンに気づきましたので、開いてみますと異形のメガマックの写真が鎮座しておりまして、この実物を見てみたい、また、人に見せびらかしたいという欲求もありまして、昼休みになるとすぐにクーポンを切り離しまして、店に向かったしだいです。
少し予想していたことではありますが、店の中はかなりの混雑を見せており、いつもよりも若い男性が多いかなという印象で、二人連れ、三人連れの客などはほぼ例外なくメガマックの話をしており、「テラマック」、「ヨッタマック」などという言葉まで聞こえてきますから、みな期するとこあってのことでしょう。しかし、同じく誰の発した声、「実物を見るとがっくりするんだよな」の一言もまた、みな想像できるところかと思われました。
しばらくの間、列で待つこととなり、並びながらレジの表示など見ていると、やはり「メガマツク」の表示が多く、しかるに、いくら製造工程に創意工夫を凝らしたこのマクドナルドといえども、やはり一品肉四枚は十分ブレーキになるようにも考えられ、中で働く人たちにとってはなかなか難儀な商品であるようにも思われたものです。
さて、持って帰ってとりあえず取り出して開陳としたわけですが、やはりなんというか、マックのハンバーガーはマックのハンバーガーであって、その荷重に耐えられず少し横滑りした風情などもいかにもらしく感じられるものでしたが、大口開いて一口食うに、それなりの肉々しさはあるもので、一応鳴り物入りで登場して、マクドナルド店員を困らせるだけのものはあるという気もしました。
問題なのはそのあとで、一口ごとに各階層が悲鳴を上げ、具は向こうへ向こうへ挟み出されるようになり、この事態をいったん収拾しようにも、一度右手を離してしまえば分解は避けられず、各方面に気を配りつつそのまま食べきるよりほかなく、私は元来食は異様に早いところがあって、メガマックを満喫するところもなく食べ終わってしまいました。
悪戦苦闘しながら私が思いだしたのは、東海林さだおのコラムで、その内容はビッグマックとの戦いを見事な腕前で描ききったもので、おそらくビッグマック日本初登場時のものではなかったかと思うのですが、一昔前の日本人がビッグマックに驚いていたら、そのビッグマックが子供のように見えるメガマックが現れ、また、この成功に気をよくしたマクドナルドが次の手を打たないとも限らず、そういった方面に拍車をかけて明後日の方向まで飛んでいくドナルドの姿を期待する私です。