演歌の女王の華麗なる一族

goldhead2007-01-15

 天海祐希は好もしいというのは俺が年上好き、背の高い女好きということもあってのところだが、『演歌の女王』はどうだろうかといえば、やはり天海さんは妄想大暴れシーンなどもおかしく、さすがに妊婦に腹蹴りはどうかとも思いつつも好もしいのだが、正直それ以外あまりとくに印象に残るところもない。というのも演歌をテーマにしているだけあって、ベタにベタのベタベタさはあえて狙ったところではあろうけれども、やはり先を読めてしまう悲しさがあって、刑事役で温水洋一などというサプライズくらいではとくにどうということもない。
 逆に気になってしまったのは、決めのシーンにおける演歌歌詞風テロップで、かつてこのようにテロップを使ったドラマがあったかどうか知らないが、どうにもこのままドラマというものがバラエティ的テロップ濫造に侵されるのではないかなどという懸念を抱いてしまったのだった。
 一時、キムタクがいい役者であると思っていた一時期があるのだけれど、今となっては何を見てそう思ったかさっぱり思い出せないのが不思議なところで、実はそんな時期なかったのかもしれない、と言ったところで自分に嘘をついている気すらしないので、あるいは本当に何かの勘違い、たとえば木村拓哉違いの木村拓也を高く評価していたということかもしれない。
 そういうわけで、この一昔前もののキムタクも、なにやら違和感があって、キムタクはキムタクにしか見えないのはもはやキャラとしても、そのキャラが役のキャラと違和感があるとどうにもならないという風。とはいえ、TBSも随分金をかけているじゃないかと思わせたのは、冒頭あたりの町中のシーンで、自動車もたくさん走れば路面電車も走り、これでもかというエキストラの数、数、数、たいしたものだと思いたいところだが、逆に「これだけ力入れてます!」っていう青筋立てて気張ってることばかり伝わり、とてもじゃないが雰囲気、空気は伝わってこず、こんな辛口は先日『ミュンヘン』(id:goldhead:20070110#p2)を観たばかりなのだけれど、さすがに比較するのは酷だとは認めるが。
 原田美枝子は好きな役者で、なんとなく阿川佐和子に似ているというのはどうでもいいところだけれど、北大路欣也がこれをキムタク似の北大路父に寝取られた結果がキムタクということらしく、寝取られの嫉妬に身を焦がしながら原田をやろうとする鬱勃起セックスは是非ともノーカットでこれでもかと放送すべきで、鈴木京香が入ってきたのはまさしく余計なことであった。さて、その祖父の存在を表す肖像画はキムタク似で当たり前なのだけれども、それの安っぽさがどうにも気になってしまい、これだけ金をかけているドラマなのだから、実際のところはそれなりの画家が描いていたりするのやもしれぬが、やはりもうちょっとどうにかならないかと思った次第で、鯉の“将軍”のできばえより気を遣うべきところだったんじゃないのかと思いながらも、“将軍”から逃げて散る鯉の方の演技は大したものだと褒めたいところではあるが、あるいは本当に「メカショウグン」を恐れたと妄想するほうが楽しい。
 ほかのキャストについては挙げればキリがないほど豪華なのだが、肝心の華麗なる一族の面々となると、女性陣が原田、鈴木を除くとどうも誰が誰やらというありさまなのだけれど、これは単に最近の若い俳優などに俺が疎いというだけの話かもしれないが。こちらも全体的にどうかという風で、だいたい金持ち嫌いの俺としては第一話で一人くらい寝込みをワイン瓶で叩き割られてバラバラになるくらいの展開はほしかったところだが、「華麗なる一族」といえばイットーにハギノカムイオーハギノカムイオーの父がプリンスリーギフトで、実はテスコボーイと兄弟だったなどということはあり得ないというかそもそも馬は母系で繋がる話だが、それのネタ元となればやはりちょっとは気にしているところもあって、何より製鉄のあたりの巨大構造体とメカのロマン(将軍含む)も嫌いじゃあないので、次回も観ようかな。