アスピリンワールド

goldhead2007-02-07

 アスピリンローズというバラの品種がある。花の名前に薬の名前をもちいるというのは、なかなかありえない話だ。バラの園芸品種にもいろいろあるけれど、京成バラ園芸が‘正露丸’なんて名前のバラは作出しないでしょう。
 だいたい、アメリカの小説を三冊でも読めば、「アメリカ人の主食はアスピリンだろうか」と思えるくらいによく出てくる。というわけで、今しがた三冊ぱーっとめくってみたら、見つからなかったのだけれど。まあ、それでも、バラの名前にするくらいなのだから、アスピリンは特別なものなのだろう。
 というのは勘違いで、‘アスピリンローズ’はドイツのタンタウの作出で、しかもバイエル社からの依頼で作ったものだった。ほかに競馬ファンとしてはスキーパラダイスの娘、アスピリンスノーなの思いつくが、こちらもむしろ雪質を示すスキー用語。とはいえ、もちろんそのアスピリンも薬が由来。まあともかく、気になる薬ではある。気になったら調べる。
ウィキペディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%AA%E3%83%B3
医薬の王様・アスピリンの物語→http://www1.accsnet.ne.jp/~kentaro/yuuki/aspirin/aspirin.html
松岡正剛の千夜千冊『超薬アスピリン』→http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0915.html
 ほかにもいろいろ目を通したが、うーん、なんだかもう、鎮痛剤の枠を超えて、飲んでいれば健康になるという、信仰にすら近いものまでありそう。それだけのアメリカ人の消費量。しかし、それだけ飲まれているのだから、たいして副作用もないのだろうし、信頼性は疑いようない。こうなったら飲んでみたい。しかし、あまり儲かる薬ではないので、近年はあまり薬屋にも置いていないという。日本では。
 というわけで、いつもの薬屋で聞いてみる。レジには、初めて見る若い女性店員。メガネなど掛けて、ひょっとしたら新人薬剤師さんだろうか。それで「アスピリンありますか?」と尋ねたところ、「はい、なんの種類でもよろしいですか?」と。ここで俺は、予習していたことを思い出す。かつて、アスピリンは頭痛薬などの代名詞だった、と。商標であるところのバンドエイドが、絆創膏を指し示す(一部地域で)のと同じだ。バファリンを買ってもおもしろくないので、「バイエルの」とすかさず言うと、同時に薬屋の店主も「バイエルの」と。期せずしてツーバイエル攻撃。店主は俺の年代からして、「アスピリン」を頭痛薬の代名詞として使わない世代だと、即座に判断したのだろう。まあ、ともかくアスピリンはあった。買えた。一箱五百円くらい。
 箱を開けると、出てきた白い錠剤、想像していたよりもっさりした丸さ、大きさ(どんなのを想像していたんだ?)。味は……って、味は関係ないか。その後、軽い頭痛に一回飲んだが、すぐに寝てしまったので効果はわからない(眠くなる成分は入っていないみたい)。あと、頭痛以外の痛みに使ってみているところだが、なんとなく効いているような気がしないでもない。超薬と洗脳してみた俺の俺によるプラシーボ効果かもしれないが、それでも痛くないなら悪くない。