ハトのホープ

 誰かがまいた何かのエサを一心不乱についばむハトの群れを見てもなんとも思わないし、平和の象徴などと言われながらもそこらのハトに何かを思うことは少ない。が、その中の一羽が小枝をくわえて、いったん落として、また拾って自分の、そしてやがて孵る雛のための巣へ飛んでいくさまなど見ると、とたんに愛しいいきものという気がしてくる。気持ちが引き寄せられるように思われる。旧約聖書で、大洪水のあと、ハトがオリーヴの枝をくわえて帰ってくるというくだりがある。それで陸地があるとわかるわけなのだけれども、これの著者である誰かさんも、小枝をくわえる鳥の姿を好もしく思ったのかしらん。ハト肉とオリーヴ・オイルの相性がいいのかどうか調べてみたが、いまいちよくわからなかった。