『ブラック・ダリア』/監督:ブライアン・デ・パルマ

ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組 [DVD]

ブラック・ダリア コレクターズ・エディション 2枚組 [DVD]

 俺とエルロイ、エルロイと俺。俺の中でハードボイルドといえばジェイムズ・エルロイが基準であって、エルロイの前にエルロイなく、エルロイのあとにエルロイなし、というのは、俺の読書量が少ないためだ。ただ、エルロイの作品はロイド・ホプキンスからL.A.四部作、近作三作くらいを除いて読める物は読んでいる。エルロイが好きなのだ。
 ……なのだけれど、小説『ブラック・ダリア』を読んだのはいつのことだっけ。若いころは読んだり観たりして、印象に残った作品は確固たるものとして、自分の中にあり続ける感じがあった。しかし、どうだろう経年劣化、最初の最初にエルロイに触れた『ブラックダリア』、「インパクトがあった」とは言えても、内容についてはスコーンと抜けてしまっている。まあ、そういうものだろう。たぶん、きっと。
 というわけで、映画版。はっきりいって、このところはサイバーパンクやSF方面に気持ちが行ってるので、それほど「観たい!」って意欲が高まっていたわけではない。そういうわけもあってか、本編再生の前に、人物相関図があるのに気づき、まず冷静にチェック。よし、ボクサーあがりの相棒二人の名前が微妙に似てることくらいしか覚えていない。ということで、ネタバレがあったところで、原作を読んでるんだから構わんと熟読。たぶん、これが正解だった。
 俺の感想としては、映画『L.A.コンフィデンシャル』に比べたら、ずいぶんスッキリとわかりやすく作られていて、ドキドキの謎解きからラストに至るまでぐいぐい引き込まれて、こりゃあよかったな、というものだった。……世間の評価はまったく逆でした。
 しかし、そもそも映画『L.A.コンフィデンシャル』にしたって、その原作にしたって、中身スコーン状態、とくに映画版はしっかり通して観たことあっただろうか。ひょっとして、テレビで集中力無く観ただけかもしれない。などと、世間におもねるのは当たり前、俺は俺を信じたりしていない。
 もちろん、おもねりながら言うのだけれど、この映画にしたって不足な点はある。エルロイ独特の、巻き込まれて、積み重なって、逃げ場もなく、追い詰められて、脳がチリチリとしてくるような中でも、這いずって、這い回って、血や汗や精液まみれになりながらの、そういう感じ。こればっかりは、小説のボリュームが為すところもあるのだろう、とか。
 つーか、でも、エルロイ・ブーム再到来かもしれない。あまりに独特の文体(『ホワイト・ジャズ』とは別の意味で)に引っかかって読みさしになっている『獣どもの街』を再読しようかな。あと、やっぱり『L.A』のDVDも借りてみなきゃな。よし、それでいこう。
 あと、スカーレット・ヨハンソンには乳を晒してもらいたいと思った。ヒラリー・スワンクは素敵だった。ブラック・ダリア役の人のポルノ・シーンで張り型ブッ差されるところの、歪んで醜い表情はすごいと思った。以上。