性癖の問題

一昨年12月、ネット上の掲示板に複製された動画がダウンロードできるアドレスが掲載されていることが判明。掲示板は尿道に異物を挿入する性癖のある人が情報をやりとりする場になっており、ビデオを“手本”にすることをほのめかす書き込みもあった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080115-00000912-san-soci&kz=soci

 「尿道に異物を挿入する性癖のある人」の「性癖」の用法はアウト? セーフ? 好き? 嫌い? 嫌いじゃないけど、生理的に無理!……ってヒッキー北風はともかくとして、どうだろうか。Yahoo!書経由でひいた大辞泉には以下のようにある。

性質上のかたより。くせ。「大言壮語する―がある」
◆「性」を性質の意ではなく性交の意ととらえ、誤って、性的まじわりの際に現れるくせ・嗜好、交接時の習慣・習性の意で用いることがある。

 うーむ。この◆以下の説明も少し腑に落ちない。「性交の意ととらえ」というのは、意味を限定しすぎていやしないか。「性的まじわり」、「交接時」に限っては、「尿道に異物を挿入する」オナニストの説明がつかない。ここはもっと広く「性の意ととられ」の方が、誤用(現時点での)としての「性癖」を説明するにふさわしいように思える。大辞泉は変態に弱い。変態にめっぽう強いですよ! って辞書があっても怖いが。
 さて、話を戻そう。「尿道に異物を挿入する性癖のある人」の「性癖」の用法はアウト? セーフ? 好き? 嫌い? 嫌いじゃないけど、生理的に無理!……うーん。どうだろう。「尿道に異物を挿入する」というのは、広く性質上のかたよりやくせと言えるだろうか。あまりにも限定された行為のように思える。性的嗜好という性癖の一つ下のカテゴリの下の下に分類されるくらいのもののような具体性。たとえば、蒐集癖を例に取れば、「ものをコレクションする性癖」はセーフ、「プラモデルをコレクションする性癖」は微妙、「ガンタンクの右のキャタピラだけをコレクションする性癖」はアウト? 好き? 嫌い? 生理的に無理!
 いや、書き出した手前、何らかの判断を下したいところだが、どうにも無理だ。ただ、「ガンタンクの右のキャタピラだけをコレクションする性癖」と書くと、にわかに性的嗜好の意味が湧き出てくるような気がするのは俺だけだろうか?