地上波デジタル時代到来の予告

 ドアの郵便受けに突っ込まれたビニール袋入りチラシ。何か違う、と思って表紙見たら、地元ケーブルテレビ局名と大家である不動産屋との連名。曰く、「アパートを全室ケーブルテレビ化する。部屋毎の工事が必要となるので希望日を知らせよ」。
 なんと驚いた。「もしも今ブラウン管テレビが壊れたら、デジタルっぽいテレビを買わざるをえないだろう。そうした上でアナログ放送を受信するのはバカらしいと思うが、かといって集合住宅でどうすればいいのかよくわからない」と思っていたからである、常々。たぶん、集合アンテナと配線をどうこうする手段もあるのだろうが、ケーブル化も手段である。
 とりあえずはテレビも壊れていないし、買い換えるカネもない。しかし、ケーブル化によってもたらされるものもある。TVKがはっきり映るようになる。あと、たまに映りが悪くなるその他も安定するだろう。何にせよ、悪い話ではない。年度末の忙しさで混沌している部屋片づけというミッションを除けば。
 いや、違うな、もっといいニュースだ、これは。大家は、このアパートを、さしあたって更地にするとか、立て替えるとか、売却するとか、そういうつもりは無さそうだ、ということだ。ケーブルテレビ化して、資産価値を高めようとすらしている。実家を失った人間の弱みだが、アパートに空室ができるたび「このまま人がいなくなったらつぶれてしまうのではないか」などと心配してきたのだ。入居直後から、ずっと。だからこれはグッドニュースだ。
 害は欲望。やはりいいテレビが欲しくなるかもしれない。有料チャンネルへの誘惑もある。競馬ファンとしてはグリーンチャンネル。あるいは、ラブホのように2chにあわせればいつでもAVが流れている、というのも面白いかもしれない(面白くないかもしれない)。
 また、「カネもパソコンもないし、回線もどうしたらいいかわからん」と無視してきた、自室へのインターネット導入、その誘惑。速さのほどは知らないが、回線問題は片付いてしまった。まあ、しかし、カネがないのだ。
 ところで、「今どきテレビが必要なの?」という先進的な意見も少なからずある。あるいは、ずっとテレビ不要の論はある。しかし、スポーツはどうするんだ、スポーツ観戦は。そこのところがよくわからん。安っぽい疑問だと思うが、そこがわからん。インテリはスポーツ観戦しないのだろうか。それとも、「そうか、今週末にF1開幕か。ちょっとオーストラリア行くか」といったノリなのだろうか。わからん。