失われた広島の核について

5連敗にGファンブチ切れ「金返せ!」

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2008/04/03/03.html

 広島カープのていたらくから逃避して、巨人中日戦などを観るのは楽しい。どこかのラジオ局のキャッチフレーズじゃあないが、「やっぱり野球は面白い」なのだ。
 それにしても読売巨人軍は弱い。俺は小さなころから読売が嫌いで、今も嫌いだけど、やはり弱いチームを応援する者として、他人事とは思えない妙な感情も芽生える。……って、いつまでこんなこと言ってられるかわからん。昨年のリーグ首位チームであり、資金は豊富。彼我の差は大きい。しかし、よくわからんが、弱いときのジャイアンツと弱いときの我がカープ、なーんか似てるなあと思うのだ。ひょっとしたら、強いチームには色々な種類の強さがあるが、弱いチームの弱さは一緒なのかもしれない。いや、違うな、やっぱり弱さにもいろいろあるわな。
 で、はっきりいって巨人のことなど野球中継レベルでしか把握していないながらも言わせてもらえば、野手陣においてリーダー的存在、中心的存在、まとめ役、盛り上げ役、求心力役に欠いているんじゃないのか、と。たとえば昨日のオーダーを見る。

  • 1.高橋由伸
    • 巨人生え抜きであり、チームリーダーであるべき存在。が、どこかチームを引っ張っていくタイプには見えない。おぼっちゃんタイプという感じ。
  • 2.木村拓也
    • 赤ヘル戦士が新天地で活躍しているのはうれしい。が、この巨大戦力にあって、もちろん他選手の故障などもあってのことだけれど、キムタクがスタメンということに多少の違和感が。もちろん外様であって、リーダータイプとも言えない。
  • 3.小笠原道大
    • ガッツだが、どちらかといえば一匹狼ではなかろうか。また、外様である。もちろん、外様だから駄目ということはない。たとえば阪神の金本のように。
  • 4.イ・スンヨプ
    • 外国人であって外様であって、少々その役には厳しい。
  • 5.ラミレス
    • 外国人であって外様であって、少々その役には厳しい。
  • 6.阿部慎之助
    • これだ、阿部がよくわからない。ひょっとしたら、阿部がその役目かも知れないし、それを果たしているのかも? と思う。ただ、外から見ていて、阿部を中心に、とか、阿部が引っ張って、という印象もあまりない。すさまじい打棒で成績を引っ張ってるシーンは見られるが。
  • 7.谷佳知
    • 外様であって、タイプも違うような。
  • 8.坂本勇人
    • 若すぎる。

 ……と、あくまで外から見た感じなので、巨人ファンには海容いただきたい。それで、何が言いたいかといえば、個人個人のポテンシャルが高い(よね?)チームであっても、グッとまとまるところがなければ、なんとなくうまくいかないのだ。ましてや、我がカープなどは……、
 ……って、巨人、別にこんな感じで去年優勝しとるよね。少なくともペナントレースは制した。なんだ、俺はたんに言いがかりをつけただけじゃないか。だいたい、まだ五試合そこらで、俺は何を言ってるんだ。ああ、ただ、しかし、黒田が抜け、新井が居ないことの、数字以上の意味を探りたかったのだ。

負け続けることで、チームの活気が失われるのが怖い。この日、先発した宮崎はピンチ続きだったにもかかわらず、マウンドに集まった内野手は三回の梵一人。さらに、今の先発陣には連敗阻止を完全に託せる不動のエースも、まだいない。新井と黒田。今更ながら、2人が担った役割は小さくなかったことを痛感する。

http://www.chugoku-np.co.jp/Carp/Cs200804030122.html

 前田や緒方はファンにとっての精神的主柱、象徴的存在みたいなところもあるが、チームリーダー的か? 野村謙二郎タイプか? というと、はっきり言って違う。あるいはマーティ・ブラウン監督こそチームを引っ張っていくリーダーになれるかとも思っていたが、正直言ってそういう一体感、オールインは三年経ってなかなか見えてこない(バレンタインやヒルマンはよくまとめたよな)。そして、ファンの心……を一概には言えないが、俺の心も、正直言って離れはじめているところがある。
 もちろんこれは、手を打てばどうにかなる問題ではない(補強は往々にしてそうだけれども)。しかし、まるで何か今の広島のメンバーには、ある種の核がない、そう思えてならない。ヒロシマに核攻撃は金輪際いらないが、広島東洋カープには核が必要だ(ついでに言えば、今、緒方に核弾頭を求めるのは嬉しくもあり、悲しくもあり)。そしてそのコアが、まだ頼りない部分がありながらも新井であったというのは、未練抜きでいっても確かなことであって、それが出て行った広島の抱える問題の根はひどく深いもののように思えるのだ。