江藤智の引退/さらば赤ヘル、ビッグレッドマシーン

西武の江藤智内野手(39)が今季限りで現役を引退することが1日、分かった。江藤は広島、巨人、西武の3球団で歴代22位の364本塁打を放つなど、長打力でファンを魅了してきたが、今季はわずか20試合と出場機会が激減していた。今後は指導者になることが有力。引退試合は行わず、静かにプロ21年間の現役生活に幕を下ろす。

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2009/10/02/10.html

 昨日は緒方、今日は江藤。ビッグレッドマシーンであったものたちが、つぎつぎにユニフォームを脱ぐ。ああ、江藤、江藤、滞空時間の長いホームランを打つ江藤、ここぞというところで四球を選んだ四番打者、帳尻合わせと揶揄されようとも、あんたはホームランバッターだった……。
 俺は、江藤を、どう思っていたのだっけ?

 ああ、しかし江藤。俺は広島時代から江藤はあまり好きでなかったけれど、さすがに今の姿は見るに忍びない。選球眼の良さはまだ生きているようだけれど、肝心のホームランが打てない。今さら言ったところでどうしようもないが、横浜あたりに行った方が選手生活としては良かったんじゃないのか。もちろん、引退後の人生の方が長い。巨人の肩書きはどれほどの魅力かは言うまでもない。

2005-08-24 - 関内関外日記(跡地)

 四年前にはこう書いていた。その後、西武ライオンズに行くとはつゆ知らず。まあ、西武でよろしくやっている江藤は、いい感じだったんじゃないのか。青いユニフォームも似合っていた。まあ、横浜でもよかったんじゃねえのと、今でも思ってはいるけれども。
 しかしまあ、考えてみれば、そのときの俺の冷たさというか、そういうものが、江藤の回りにはあったのかもしれない、とも思う。関東出身の江藤が、広島東洋カープというチームの中で、どんな立場にあったのか。下手すれば、それは金本や新井が出て行ったことに通じるかもしれない。単に、金だけの問題ではなく。もちろん、金の問題もあっていい。プロだから。
 いや、新井なんて、新井こそは、外様どころではない広島の人間だったんだよな……。

新井は川口とも江藤とも、そして金本とすら違った。違う存在だった。

2008-04-02 - 関内関外日記(跡地)

 俺自身が、北海道生まれ、神奈川育ちの広島ファンという、異邦の二世という立場。そこからは、チーム事情などよくわからない。ただ、すべては金の問題だと思っていた。違うかもしれない。よくわからない……。
 まだ、今シーズン残っているのに、こんな話。まあ、許してくれ。俺はもう、現役カープファンは降りた。地上波放送が少ない、横浜スタジアムに行く金がない、などというおためごかしはもうやめよう。正直にいって、新井が去ったときの、冷めた心がなかなか戻らない。もう、身を入れて応援するほどの、熱がないんだ。だから、なにかのアンケートで、「好きなプロ野球チーム:広島」と書くことはあるが、もう、全身のどこを切っても赤ヘル色の血が流れているなどとはいわない。
 ただ、追憶のファンであることはやめない。かつてカープファンであったものであることはやめない。追憶のカープファン、日本プロ野球ファンとして生きていく。もちろん、現状について「好きなプロ野球チーム:広島」くらいのリアクションはするかもしれないし、それもまた本心ではある。ただ、昔の自分とは違うな、と、そのように感じて、いま、こうして言葉にしている。そして、追憶だけは、ことかかないのだ。

……いつだったか、俺がニートそのものであったころ、母とめずらしくシリアスな会話をした(おかしな話だが、ともにおしゃべりなのでニートのひきこもりだろうと、会話自体は絶えなかった。変な余裕のある親子もいたものだ)。「あんた、逃げてばっかりで人生どうするの?」。俺は、プレイステーションの野球ゲームをしていた。PSワールドスタジアム。俺がゲームに対してうわのそらになればなるほど、俺の赤ヘル軍団はホームランを打ちまくった。前田が、江藤が、金本が。みるみる二桁得点になった。あのときの俺は、世界中の誰よりもワースタがうまかった。俺はいまでもそう信じている。

クロスバイク購入への道〜その3〜 - 関内関外日記(跡地)