『バルバラ異界』萩尾望都

※ネタバレしてても知らないよ
バルバラ異界 (4) (flowers comics)
 『20世紀少年』を読んだ続きのシチュエーションで読破。作者プロフィールのところの、「好きなSF作家」のところで、アーサー・C・クラークに続いてフィリップ・K・ディックの名があったのを見て納得のSF。そうだ、クラークにディック、それにあのグレッグ・ベアこのグレッグ・ベアに、あとは萩尾望都の『百億の昼と千億の夜』や『スター・レッド』、そして『ポーの一族』、こんなのをガラガラポンしたような作品であって、これが面白くないはずねえよ。どうもこれ、日本SF大賞というのを受賞したようだけれども、そりゃあそうだろうよぉ。俺はそう思ったぜ。
 そのさ、夢に潜るってのは、やっぱりまあいろいろあるけれども、たとえばグレッグ・ベアの『千年女王』あたりなどを思い浮かべるんだけれども(直前に読んだ『20世紀少年』のヴァーチャル・アトラクションも似たようなものだろう)、あっちはアルファ・ケンタウリとのコネクションが切れてて「あれ?」だったんだけど、こっちはちゃーんと火星をがっちり絡めて、さらには心臓ですよ、トーマの心臓。いや、トーマは関係ないけど、プリオン、これを持ってくるあたりはさすがよ。日本のSFの真ん中はよ、少女漫画にあるんだぜ。
 ……って、あんまり日本SFを知らないのでなんともいえない。いや、世界のSFだってどれだけ。とはいえ、『バルバラ』がSFストライクなのは間違いない。これ、逆にノベライズなんてしたりすると、とか想像してしまう。PKDだったら、主人公の渡会時夫のうだつの上がらない度が150%増しだろう。現実と非現実の悪夢も大盛りだろう。ウィリアム・ギブスンだったら、もっとハードボイルドで、感傷的で、ポエティックだろう。喪失感特盛りだろう。でも、やっぱり萩尾望都テイスト。サイバーパンクでバイオで王道のSFで、しかも高度に完成された少女漫画。これだよ、これ、日本に生まれてよかったぜー。