『マージナル』萩尾望都

マージナル (1) (小学館文庫)

西暦2999年。人々は生殖能力を失い、世界はただ1人の聖母マザによって形づくられていた。そのマザ暗殺から始まる傑作SF!

 というわけで、俺も萩尾望都の傑作SF! ……というくらいしか言えない。やっぱり好きなものを好きと言うのはかんたんだけれど、うまいこと説明できない。いくら説明してもマージナル(不毛)だ、そんな気になる。
 そういうわけで、じゃあこの漫画の登場人物で誰が一番好きか? という話をする。さあ、誰だろう、俺は誰が好きだろう? ……などと自問する暇など一秒もない。もう答えは出ている。一択問題だ。
 ミカル君に決まっている、と。読んでいて、パンッとなったところでは、こっちの胸が潰れるかと思った。他に例を出せば、ヒカ碁では圧倒的に塔矢アキラきゅんであって、そのあたりに悶え死ぬところであって、だいたいこのあたりを押さえておけば、俺の人格の85%くらいは理解されるものだと思う。あと、ジルベールかセルジュかで言えば、断然ジルベールだ。そのあたりも覚えておいてほしい。でも、俺の人格の90%くらいは寝取られに支配されているので、残酷な神が立ち入る隙はないということも知ってほしい。しかし、「美少年の寝取られ」などといっても、まったく面白そうではなく、なんら興味を引くところでなく、寝取られは人妻であればあるほどよいと言える。
 いや、なんだ、俺のことはどうでもいい。たとえばメイヤードさんとか、こう、非常にキャラに魅力のある(ミカル君とは別の意味で)作品だったと思う。それにSFだしハードだし、たとえば『RD 潜脳調査室』とか、そのへんとかと通じるところもあったりなかったり。それでもやっぱりその、男だけの世界という、まあ現実そうなったらかなり住んでられねえというところの、そのへんの組み立てというか、世界がビシッと作られていて、いやあ本当によい、よいのです。それじゃあ。

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