就任当時、渡辺監督から「ファンが見たいのはホームランだ」という命題を受け、デーブ改革が始まった。大リーグ取材で学んだ早出練習「アーリーワーク」の導入は今や西武の代名詞になった。「最初はＡクラスに入るのもキツいと思ってた。でも、時間がかかると思っている練習をすぐできるようになる選手が多かった。若い選手は量が質を生む」。徹底して振り込ませ、フルスイングと自信を植えつけた打線は、１２球団トップの１９１本塁打を量産した。
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「日本シリーズで戦っていると思え」。円陣で奮起を促す言葉は、チーム一丸で勝利に向かわせる力があった。独自のデータ分析で狙い球を絞り、アドバイスは短く的確に伝えた。
デーブ大久保が西武コーチに就任したとき、どう思ったか。「西武ファン可哀想に。でも、デーブが解説だからってチャンネル変える手間が省けてラッキー」である。「解説を聞かなくてすむ」どころではない、はなから聞く気がなかった。ほんのちょっと喋っているのを聞くだけでも耐えられなかった。あまり人の悪口は書かないようにしているから、日記でデーブ大久保に触れたのは一回だけれども、ともかく嫌い、毛嫌いしていた。「なんでこんな奴が解説の席にいるんだ。元巨人ブランドか、それともテレビの人間に媚びるのがそんなに上手いのか」とすら思ってた。全部、正直に言うと、こんなところだ。
なので、今回の西武優勝、それもデーブ大久保コーチの力が大きいというニュースは、とてもよいニュースだ。自分の心の中の、他人に対する悪い心が消えたのだ。なんとまあ、あれだけ嫌悪感を抱いていた偉そうな解説には、ちゃんと裏付けがあったのだ。そして、監督や若い選手に慕われる人格者でもある。自分がデーブを悪く思っていた心は取りはらわれた。それが悪いわけがない。それに、こうやってコーチとしての名声を得れば、テレビに帰ってくることもないだろう。それも喜ばしい。いや、まだ邪心が残っていたか。相済まぬ。
そして西武ファンおめでとう。福地を放出したときはどうなると思ったが（そうだろうか）、戦力が抜けていき、チームに問題もある中からの優勝だ。我が赤ヘルもなんとかCS戦線に踏みとどまってる。あとに続いてほしい。俺は広島の野球と、西武黄金時代にひどく憧れる野球ファンだ。西武は嫌いじゃない、今のチームカラーがそれと違ったとしても、だ。
