6枚切りのパンの何が違うって厚さが違う

 ここのところ俺は内なる反革命に負けて(最近のリアル俺の流行は映画『光の雨』における裕木奈江の口調です)の6枚切りのトーストを食べているのよ。永遠に繰り返される朝、ずっと8枚切りの食パン2枚という生活をしていて、一時はシリアル食に走っていたのだけれど、シリアルもうこれ以上食うの限界という飽きに負けた秋、なぜか帰ってきたら6枚切りになっていたのよ。ずっとずっと8枚切りだったのに6枚切りになったのよ。
 それで、6枚切りなんだけど、もう目から鱗が落ちるというか、口からパンかすが落ちるというか、それは単に食い方がきたないだけだったりするんだけれども、それはともかくもうぜんぜん違うわ。8枚切りとは別の食べ物。まさに革命的だわ。外はさくさく、中はふわふわ、その上ボリュームがある。量的変化というより質的変化だわ。まさか6枚切りがこれほどのものとは思わなかったことを自己批判するわ。全身の毛という毛が抜けるかと思った。たった6/8のコスト上昇を嫌って、8枚切りに拘泥してきたのは敗北主義なのよ。労働者は6枚切りのパンを食べる権利があるの。
 いや、もう変な口調はやめるけど、これだけは本当。まさかパンが6/8厚くなるだけで(これって算数的に正しいのかな?)、これほど差があるとは思わなかった。しかし、考えてみれば、オーブントースターはそれほど悪くないもののはずなのだ。

 そうだ、定価で6,500円級というのは、案外高いんじゃないのだろうか。いや、わからんが、自分の感覚的には。だって、単にパンその他を熱するだけだし。それでまあ、その本領が、この6枚切りによって発揮されたと。今まで血統から短距離ばかり走らされて下級条件で入着を繰り返していたけれど、権利獲りのための投票でうっかりゲートインした11F戦で6馬身差圧勝、以後5連勝で重賞まで勝ったとか、そんな感じだ。ともかく、自分の収入が6/8になろうとも(これは算数的に正しくないような気がする)、パンを食う限りは6枚切りにする。太っても構わない。パンは6枚だ。しかし、だからといってこれ以上の厚さは神に逆らう行為だと思う。そこまでは踏み出さない。もうバベルの塔は建てないと決めたんだ。
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 そんな俺がたまたま<「外はサクサク、中はフワフワ」なトーストの焼き方>などというタイトルを見ればクリックする。その中に、すばらしい情報があった。

皿に水蒸気付けたくないなら
パンを焼く前にトースターを暖めながら皿をトースターの上で暖めておく
十分トースターが温まってからパンを焼く。

 これは予想外。いつか本格的に取り組まねばならないと思っていた、皿水蒸気問題に希望の光を差しこんでくれたではないか。多少の電気代と時間には目をつぶる。俺はこれを実行する。というか、している。