倒れざる敗者山口真吾への賞賛、あるいはそろそろ内藤大助を「国民の期待」と呼ぶのはやめようじゃないか、いや、やっぱり呼んでもいいか

WBC世界フライ級王者の内藤大助(34=宮田)が、終盤の猛攻で4度目の防衛に成功した。同級13位の山口真吾(29=渡嘉敷)を序盤から圧倒し、11回に右フックでダウンを奪うと、さらに連打を浴びせて1分11秒、TKO勝ち。優位な展開にセコンドからは逃げ切りの指示が出たが安全策は取らず、積極的に打ち合って強さを見せつけた。

http://www.nikkansports.com/battle/news/p-bt-tp0-20081224-443266.html

 結果を先に知ってしまった。録画をしかけてきた。人の家でニュースなどからうまく逃げた。が、帰りの電車だ。ふと携帯を開くと、オープンしたその画面の一行ニュースに「内藤」「11RTKO」の文字。しくじった。
 が、もっと先に結果は知れていた……とまでミーハーファンが傲慢にはなれないが、なんとなく内藤が順当勝ちするのではないかと思っていた。坂田健史との試合で見たことがあるのだけれど、やはり少しこの階級では小さく見える。軽く見える。内藤は膂力あって圧倒するところがあるので、スピードでかき回すにしても、不利ではないかと。そんな素人考えを持っていた。清水智信との試合では危ないところもあった(自分の採点では内藤有利だったけど)が、今回は身長差、リーチ差……。
 が、山口は打ち合って戦う。すごいガッツ。よく倒れない。倒れないばかりか、ガンガン当てていく。俺は、だいたい内藤びいきといってもいいのだけれど、判官贔屓という精神コマンドが発動して(小柄な方を応援したくなる、というチビ特有の気質もある。でもシュルトは好き)、山口応援しつつの心境になっていった……、と、言いたいところだけれど、前述の通りもう結果は知っていた。知っていたけれど、やはりそういう思いは出てくる。そういうものだろう。
 そして、最後まで倒れなかった(一回ダウンしてるけど)山口選手に拍手をおくりたい。おそらく不利な面の多い戦い。しかし、戦い抜いてくれた。よくやってくれた。そう思った。
 そしてもちろん、内藤も期待に応えてくれた。まだまだやれるぜというところでいいんじゃないかと思う。まあ、よくわからんが。ボクシングについてもよくわからんところだらけだけれども、まだこの内藤の特異なスタイルが見られるというのは、よいことだ。まだ第二の人生は早い、と。
 と、少し気になったこと。勝利者インタビュー。別に内藤は芸人でないから笑いはとらなくてもいいのだけれど、あんまり受けていなかったように見えた。だいたい言ってることが一緒なのに、だ。いや、一緒だから、「またか」というところもあったろうか。いや、正直ちょっとそう思った。まあ、別に受けなくていいんだけれど。でも、あれだ、そのあとの盛り上がりはすごかった。どちらかというと、聴き入ってたんかな? そのあたり、テレビからだとわからん。
 あと、もう「国民の期待」でなくていいんじゃないのかね? いや、あの前後はたしかに「国民の」とまで言えるような状態はあったかもしれない。しかし、そうなった理由はむしろ内藤でない側の圧倒的に非/反ボクシング的要素が大きく、実に特殊な状況であったように思う。福島や山口を倒すのが国民の期待といえるのかどうか。
 ……って、やっぱりある程度定着した二つ名はそのままの方がいいかな。「国民の期待」というのもなかなかスケールが大きいし、たとえば内藤の経歴を語る上で外せないところかもしれない(たぶんNHKでやってたドキュメンタリでは完全無視してたけど)。“バーニング・フィスト”、“スピード・スター”、“神武以来の天才”、“最後のステイヤー”、“北陸のイチロー”……うむ、いいじゃないか“国民の期待”でもさ。いや、でも、もっとなんかあればいいような。でも、いつまでも“闘うフリーター”とかよりはトシオカ・マシオカ。

追記:なんで清水の日本タイトル防衛戦流さないんだ? 前の内藤戦はけっこうな視聴率だったし、清水のことを覚えた人も多いだろうに。契約とかいろいろあるんだろうか、よくわからん。
 あと、次の対戦相手が決まっているのか。池原繁尊選手。池原……? 自分の日記を検索すると、池原信遂選手がひっかかった。苗字が同じというだけで、まったく関係ないよう。
 ちなみに、検索すると池原繁尊選手のブログが出てきた。次の対戦相手である清水選手の試合を見たむねが書かれ、最後にこうあった。

・・・ということで、
メインの内藤選手の防衛戦まで
休憩50分というとんでもない
アナウンスが流れたため帰ってきました。

http://shigetaka.ti-da.net/e2475314.html

 なんかわかんねえけど、スゲーかっこいいと思った。それで、ついついブログさかのぼってだいぶ読んでしまった。仕事しよう。