エロ思い出無題、あるいは生涯最大の出会いについて

<18禁>

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 俺はあまり芸能人を見かけたことはないし、ましてやAV女優を見かけたことはない。ただ、俺がまだ中学のころ、たいへん衝撃的な「見かけた」経験をしたことがある。明日事故にあって死ぬかも知れないので、ここにあらためて記す。
 「ニャン2倶楽部(※リンク先18禁)」というエロ本がある。いわゆる、素人投稿誌だ。内容はかなりどぎつく、また投稿者の内容のレベルもたいへん高かった。俺の中の実写系エロ本において、一方の柱がこのニャン2倶楽部であり、もう一方の柱はURECCOであった。まあ、ともかくニャン2倶楽部を買っておけばはずれはない、という安心感があった。たまにSM、スカトロ色の強いZに手を出したが、そっちはダメだった。
 それはともかく、ここまで書けば賢明な読者はお気づきであろう(賢明さをもっと世の中のためになるように使って下さい)、俺が見かけたのは、投稿ニャン2倶楽部の中に載っていた女性だった。好みの女性だった。ストレートな言い方をさせてもらえば……、いや、あまり下品な言葉は知らないので。
 ともかく、本の中のその女性は、細い目線が入っていたが、メガネをかけていた。髪は黒く、いかにも真面目そうな雰囲気だった。「なぜこんな地味な人が?」というような人だった。そして、おっぱいが大きかった。形もよかった。その、大きな、形のいいおっぱいを、いかにも悪そうな、チャラそうな、茶髪の男にいじられていた。「いったいなんなんだこの二人の関係? でも、すごくいい」。中学生の俺(成年向き雑誌読んでごめんなさい)は、もうたまらんほど好きだった(今思えば、寝取られの兆しがある)。
 そうだ、その女性を、見かけたのだ。どこで? 東京で。東京だった。父親が「思い出の早稲田界隈歩きをしたい」というのに付き合ったのだった。その帰りだった。電車の中だった。車内に入ってつり革にぎって、まさにその目の前の席に、座っていたのだ。
 人違いの可能性? 他人のそら似? 今でもはっきりと断言できるが、あれは、あの女の人だった。絶対にそうだ。間違えるはずがない。もう、ほとんど電撃が走ったような気になった。嘘じゃないかと思った。夢でも見ているのかと思った。こんな偶然があるのかと思った。ちょっと内容が違えば、たとえば俺が何かの信仰を持つにいたってもおかしくないというショックだった。
 ……でも、だからといって、何にもしようがない。隣には親父。電車の中。相手は素人女性。いきなり「投稿ニャン2倶楽部でおっぱい揉まれてた人ですよね! 大好きです!」とか言えるはずがない。ああ、なんだ、この奇跡の出会いをどうしよう? しかし、どうしようもない……。
 結局、二度とそんな出会いはなかったし、あったとしてもどうしようもなかったろう。俺はのちに早稲田大学の試験を三つ受けて三つ落ちた。三回とも地下鉄の駅で迷って、駅員に道を聞いた。早稲田大学の近くには穴八幡という神社があって、穴馬券の的中を祈願した(学徒または未成年は……)。そして、ライバルの大学に行って、すぐにドロップアウトして、落ちて流れてこの有様だ。さあどうだろうか、まだあの女の人のおっぱいはきれいだろうか。俺をつらぬく、あのような衝撃をまた味わうことがあるだろうか。すべて遠い追憶のある日、今は手を合わせしずかに目をつむるばかり。

 ただ、そればかり。