朝5時の布団たたき

 隣の平屋のババアが朝の5時に布団たたきをはじめた。アパートの窓が、網戸が、次々にガラガラ開く音がした。俺も開いた。いきなりたたき起こされて、いったい何の音かと思ったからだった。ババアは布団たたきをやめた。誰も怒鳴ったりはしなかった。ただ、ババアはひさびさの晴天に時間のことを忘れたのだろうし、こっちはこっちで朝の5時にたたき起こされて、なにかと思って窓を開いたのだ。それだけのことだった。俺は、このことにBGMをつけるならば、石川智晶のアンインストールだな、と思いながら布団にもどった。それを主題歌とする作品も見たことがないのに、なぜかそう思った。