葉山と夏の始まり

 葉山、三ヶ岡山。夏だとかいう。だいたいもう夏だかとかいう。みな海に行く。小山を登る人間はいない。



 入道雲もくもく、ぼく黙々と蜘蛛の巣をかき分けていく、鳥が鳴く、蝉はそれほどでもなく。


 見ろ、街がアニメのようだ。夏、少年と少女が出会う海のある街、港街、異星人が現れてみな焼き尽くされて死ぬ。

 この時期のこの山に咲く花などなく、なにをやっているんだ?

 夏は海。

 ファッキン青空ベリーナイス。

 おまえ塩水飲むの? 塩飴持ってるけど舐める?

 海の生き物。

 小さなヤドカリに大きなヤドカリが襲いかかり、さらに別のヤドカリがそいつを後ろから襲うという修羅場。「借りぐらしも楽ではない」と教えてくれたんだと思う、宮崎駿が。

 これに触れると弾けて毒液を飛び散らす。その毒液に触れると、カウント2-2からの決め球のフォークが必ず高めに浮いて棒球になるという。




 あまりにも明るく、水面からの反射もあってライブビューが使い物にならず、OVFを使う。反応のなにもかも速いし、撮りやすい。こうなるとライブビュー液晶が回転する同時に、向こう側に隠せる方式でないことが奇妙に思える。

 雑然とした漁港にはカブがよく似合う。これはカブではない。

 きみら、五十年に一度の人たちでは?


 古代のひとびとはこのようにして海を渡った。熟練者ともなると、伊豆大島くらいは簡単に行けるらしい。



 そして大船に帰るころには日も暮れて。夕焼け・イズ・ベリーベリナイス。今年の夏は夕焼けをたくさん見たいと思う。おしまい。