ストライクウィッチーズ2があと第1話で終わってしまうというのに、第1期の大きな謎であり、第2期第1話でも意味深に出てきた人型ネウロイが出てこない。どうもこのままロマーニャのネウロイ殲滅戦で終わってしまいそうな気配だ。おれはストライクウィッチーズ2にたいへん満足してるし、解決や終焉よりも先延ばし(=続編)に期待したいと思っていて、それはそれで構わないのだけれども。
さてこの終盤、いや、これも1期から引き続き、話のベースにあったことなのだけれども、坂本さんの魔力減退が大きなポイントになってきている。とくに最終2話においては、メーンテーマといってもいいかもしれない。もちろん、その前に、たとえばエーリカとマルセイユの決闘を見るあたりの表情ひとつにも、いろいろ想像させるところがあったのだけれども。あれ、しかし決闘といえば、監督さんはオフィシャルファンブックでこんなこと言ってたな。
ただ、いちばん気をつかったのは「銃を人に向けない女の子」にしたかったということです。どんなに見た目がかわいい女の子でも、銃を人に向ける子って、僕はかわいくないと思うんです。
でも、たとえばエイラの特訓のために、リーネがペリーヌの眉間をねらったりしていたり、これは「銃を人に向ける」のではないのだろうな。人じゃなくてウィッチだから、というのでもなく、たとえば1期最終回でマロニー大将とかにお姉ちゃんたちが銃を向けてたらかわいくない、ということなんだろうと思う。
さて、人じゃなくてウィッチだから、というあたりなんだけれども、やっぱりそのあたりはあるんじゃないかと思う。いや、どうなんだろうか、このウィッチ世界には。ベースとして、あってはならないという、設定というより世界観があるようには思える。が、邪推の一つもしたくなるところもないではなく、やはり軍部のお偉いさんとの距離感とかが。
それで、坂本さんの「アガリ」に話を戻すけれども、これはいかにも『トップをねらえ2!』の設定を思い起こさざるをえない。『トップ2』はたいへんにすばらしいアニメに出てくる「トップレス」と呼ばれる子供たちのことだ。トップレスというとそれだけでパンツじゃないから恥ずかしくないもんと対をなしたりしそうだが、そういう話ではない。トップレスは、いわば……まあ、『トップ2』を見ればわかるけれども、ウィッチみたいなものだ(ひどい説明)。ともかく、「エキゾチックマニューバ!」とかいって宇宙的にすごい能力があって、バスターマシンを操って宇宙怪獣と戦うんだ。宇宙怪獣といえば、まあネウロイみたいなものだ。
で、そのトップレスは15〜20歳に「アガリ」を迎えてその能力を失う。確実に。『トップ2』では、このへんの、力を失うことへの恐怖や、その後の人生についてこれでもかというくらい描かれているので、そのあたりが好きな人にもおすすめできるんだけれども。で、ともかくこのあたり、どうもやはりそういう世界の中のそういう子供たちというあたりでいえば、ストライクウィッチーズ世界を想像する材料にもなるんじゃないかと思うわけで。
で、たとえば、トップレスたちは普通の軍とは別個にフラタニティという集団を組織したりしているんだけれども、たとえばミーナをトップとする501統合航空戦闘団なんかも、それに近いような独立性がある。しょっちゅう軍規違反ばかりしているが、しかし、やはり少女たちのとくべつな集まりであって、軍そのものでもないのではないかというような。このあたりは、ストライクウィッチーズの持つミリタリーっぽさと相反するところもあって、あまりおもしろい想像でもないのだけれども。
それで、ある意味軍隊より強い組織たりうるかもしれないフラタニティについて、トップ2の公式読本にはこうあった。
トップレスも強大な戦闘能力を持っているが、所詮は子供。組織力はガキ大将程度だし、類い稀なるトップレス能力に酔って孤立主義に走る者が多い。しかも数年で能力を失うのでは、組織だった反乱などというのは無理というもの。
まあ、まったくストライクウィッチーズ世界のウィッチたちには反乱の兆しはないのだけれども(それはたぶんまったくかわいくないから)、ものすごく邪な目で見ればそういう緊張感を少しは感じずにおられない。まあ、マロニーのおっさんとか、やっぱりそのあたりなのだろう。だいたいにして、描写される軍高官のなかに、「アガリ」を迎えたウィッチの姿もないのだし。いや、ウィッチがこのような軍属になってからの時間を考えたら、それはまだ早いのかもしれない。というか、カールスラントのガランド少将というのもいらっしゃるようだし、これからの話かもしれないが。
ともかくとして、やはりウィッチは世界の救世主であって、戦乙女であって、同志、戦友であるといっても、やはりどこかしら魔女狩りで魔女狩られる側の魔女的な魔女という面もあるはずのようにも思える。そうだ、だからこそ、人型ネウロイと接触できないのだ、作品世界のために。
いや、なにがだからって、『トップ2』をむりやり引き寄せてのまったくの妄想だけれども、また、それは『トップ2』のねたばれ的にもなってしまうのだけれども、あるいは、ウィッチとネウロイの同質性みたいなものが背景にあったら、というようなことで。ネウロイに派閥があるとしたら、人型のそれとウィッチの。いや、そんな同質性設定はともかくとして、ウィッチと人型のそれで対話のようなものができてしまったらどう見られるだろうか。世界の人がどう見るだろうか。ひどい誤解がおこるに決まってる。そうなったら、ウィッチたちが人に銃を向けるかもしれない。それはかわいくない。かわいくないのは、まったくよくないのだ。いや、まったく。
いや、まったくやくたいもない邪推というか、妄想なのだけれども、なんとなくつらつらと、こんなことを考えた。おしまい。
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