来年の1月13日までは生きねばならんか……


 見知らぬアドレスから「当選メール」という件名のメールがある。おおよそお前はオオアリクイに殺された崇徳院の怨霊が人間のふりをしているだけだから今すぐリンクをクリックしてポップアップした不自然なウィンドウにクレジット・カードの番号と名義、使用期限、暗証番号をセキュリティ向上のために書き込めという内容かと思う。
 が、すばらしい『ストライクウィッチーズ』のイベント優先購入の話だった。おれの孫が人妻を孕ますよりありうる話ではある。なぜなら、おれはすばらしい『ストライクウィッチーズ劇場版』のすばらしいブルーレイ・ディスクを買ったらすばらしい「おまえにイベントチケット優先購入申し込みの権利をやろう」という意味のすばらしいシリアルナンバーが印字されており、「こういうものはどうせ当たらないのだろうが、権利をただ放棄するのももったいない」と思い、なにかしら打ち込んだりした覚えがあるからである。おおよそ当たるものとは思っていなかった。どうやら違うらしい。
 どうしたものだろうか、といったところでもう遅い。おれはすでにクレジットで決済をしており、セブンイレブンのレジにプリントアウトした権利のバーコードを持って行って無料で発券を待つだけの状態だったからだ。だからおれはそのようにした。
 オールスタンディングだが番号がものすごく若い。もし番号区切り順入場なら、外のコインロッカーに荷物とコートを預けておいて、ドリンク代の500円硬貨で即座に引換券と引換え、ドリンク・物販無視でそのままホール直行場所確保すれば、そうとうに前列に行けそうではある。最前列も夢ではない。
 ……だがちょっとまってほしい。開場から開演まで1時間もある。さらに開演すれば終演までの時間もある。トイレに行きたくなったらどうするのだ? 集中できないだろう。というか、そもそもZEPP Tokyoは二度目になるも、こういったイベントなど行ったことないのに、前々に行く資格があろうか。新参者で自分としてはそれなりに金を落として入るが、すごくすごいほど落としておらず、イベントなど初の人間として、それは失礼にあたらないだろうか。むしろ、一人で、後ろのほうでまったりするのが礼儀というものだろう。
 となると、若い番号をいかすとすると、物販だろうか。というか、物販はあるのだろうか。よくわからない。いずれにせよ、屋内ロッカーは取れそうな感じもする。となると、物販→ロッカー→革命的警戒心で何度もトイレへ行く→会場後方へ、という方針がいいやもしれぬ。1月の、おそらくは暗くなりはじめている屋外、少し薄着で過ごすには辛いものがある。
 いかん、イレコミがすぎる。考えすぎだ。落ち着け。そもそも物販があったとして買う金はあるのか? 年を越せるのか? 年越しはおそらくは大丈夫だ。一人で電車に乗れるのか? 何を着ていけばいいのか? あの光る何かは買って用意しておくべきなのか? というか、番号順入場かどうかも行ってみなければわからん。……いかん、ますます考えすぎている。考えたところでどうにもならぬ。迷わず行け、ゆけばわかるさ、ゆけゆけ二度目の処女、ママ、ぼく出かける!

ストライクウィッチーズ 劇場版 Blu-ray限定版

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