1か0かかか


 1か0かというとき1か0かという二者択一ということになるのだが、そのとき「か」はどこに行ってしまうのかという話になる。
 しかし「か」のみではあることならぬものであるようだから「1か0」というまとまりでもって二者択一に答えるということになるのだが、それでは答えにならぬということにもなる。
 さすれば白紙回答なり保留という態度ということにもなろうが、「1即0」といい「0即1」などと禅問答めいた意味か無意味かをにおわせることもできるかもしれん。
 しかし、「1は0」、「0は1」などと口でいくら言ったところでその「1は0」、「0は1」に心身のすべてを投じることなく嘯いたくらいではむなしいことに違いない。
 ならば、そういった境涯にあらないならあらないで、たんに保留すること、回答を拒否することはいかんのかということになると、二者択一必須のときが今なのかどうかという判断を要することにもなる。しかし、その判断というものも畢竟ずるに二つに断じて判ずる行為がゆえに、「1か0か」の分別から逃れえない。
 やはり最初に出て行った「か」が問題だ。「か」のやつが、どこか知らない街の駅の喫煙所あたりで、つまらなそうに煙草をふかしているのを見つける必要があるかもしれない。おい、「か」よ、とりあえず戻ってくれないか、という説得をする必要もある。
 とはいえ、「か」としても「1は0」だの「1と0」だの、「は」や「と」に取ってかわられるかもしらんという、そういう不安を抱えているかもしれない。ことをせいてはいけない。
 こちらも腹をくくっている、「は」や「と」などというまたべつの答えがただしいのかもしれないが、ここは「か」でいく、「1か0」でいくということをきちんと伝えなくてはならない。いずれ「は」や「と」でもなく「1」か「0」をえらぶことになって、ほんとうに「か」を切りすてるときがくるのかもしれないのは明白なので、そこも腹を割って話さねばならん。
 ……などということを今朝シャワーをあびながら考えていたが、たんに言葉を弄んでいただけか否かかか。