この世界の果て、城ヶ島へ

 この世界の果てはどこにあるのか?

 おれは推論を立てる。光よりも速い京浜急行に乗れば辿り着くのではないか、と。

 かくして、おれは神奈川県三浦市にたどり着く。この日記を振り返ってもわかるように、おれは5年以上神奈川県から出ていないので、神奈川県の果てが世界の果てというのは間違っていないようだ。

 橋を渡り、果ての、果てへ。

 県立城ヶ島公園(調整の方向性:市への移譲を含めた検討。25年度:市との調整結果を踏まえて対応を検討。現行の指定期間が26年度までであることを踏まえ検討。26年度以降検討結果を踏まえ対応)へ。



 県立城ヶ島公園(調整の方向性:市への移譲を含めた検討。25年度:市との調整結果を踏まえて対応を検討。現行の指定期間が26年度までであることを踏まえ検討。26年度以降検討結果を踏まえ対応)にはこれでもかというほどスイセンが植えられていた。島内の遊歩道にも植えられていた。あまりにも多くのスイセンはわりといい香りがする。

 オオバヤシャブシ。だったかな。



 おれにはたまに海が必要だ。赤ん坊のころ、江の島の洞窟の中で泣いているのを、たまたま訪れた釣り船の船長に拾われ、島民から龍神様の子供じゃと言われながら育ち、歳が十を数えるころには立派な船乗りになると言われていたおれが、海と離れて暮すというのはそういうことなのだ。

 地層を見てもなにもわからぬ。

 この赤くてぷよぷよしたものは、ウミノミザクラといってさくらんぼの一種だと思えばいい。

 思うだけにしておけ。

 この隙間は柱の男の罠である。

 釣りをする人ならひと目でわかると思うが、これは十字打ち込みと呼ばれる二人がかりの高度な技である。

 まあ、全部嘘だが。この日も仕事半分できているというのも嘘だし、ぜんぶ嘘に決まっている。


 全部、嘘だったのか? 妹を守るために仕方なく? 萬田久子に問い詰められたは罪人は公園(調整の方向性:市への移譲を含めた検討。25年度:市との調整結果を踏まえて対応を検討。現行の指定期間が26年度までであることを踏まえ検討。26年度以降検討結果を踏まえ対応)を出てふらふらと島を歩く。

 これは嘘のビールなのでアルコールは入っていない。

 これは嘘のマグロなのでカマをかけてほじくり返さねば食えぬ。

 これは嘘の海藻なので、Sargassum horneriの種小名のごとく根掘りほるねりしなくてはならない。

 なにを言っているかわからない? 黙って手を合わせろ。

 突如虚像が現れる。

 突如泡の如きバブルの残り香が現れる。

 バブルの残り香のモニュメントからこういう構図で写真を撮りなさいといわれる。


たとえば、面白いケースに、関東の魚の町。千葉の銚子市。おなじく館山市。神奈川の三浦市。以上の3市の比較がある。いずれも東京から日帰り圏内にあり、全国的に著名な漁港の町として知られている。知名度も同じようなものだろう。
では、この中で一番「元気のいい町」はどれか? 答えは館山。コーホート図を見ると、他の2市が、全年代で全体的に人口を減らしているのに、館山だけは20代後半からの人口が増えている!

http://anngc.jp/archives/4800


 人が減るから神がないがしろにされるのか、神がいなくなるから人が減るのか。

 「偽りの神には注意するのですよ。それから、学校には毎日通いなさい」(CV.園崎未恵/軽いエコーつき)

 島を去るときがきた。呼び出しボタンを押すと、対岸からものすごい勢いで渡し船「白秋」がやってくる。向こうからの旅人のレンタサイクルが降ろされる。自前の自転車を載せてくれるかどうかはしらない。

 ものすごい勢いで「白秋」は。

 運賃:大人200円。

 海産物センター。おばちゃんたちのマグロ脳の恐怖。この光景はどこかで見たことがある。銚子だった。

そこで次の道具を用意する。それは地域の産業人口分類。どんな仕事に地元の人たちが就いているのかがわかるデータだ。すると、三浦と銚子は未だに漁業に頼り、三浦は卸、銚子は加工で食べている人が多いのに対し、館山の漁業人口は実は大して多くない。広くまんべんなく産業全体に労働人口が散らばっている。その一方で、「魚の町」のイメージは崩さず、観光客もつかまえている。

http://anngc.jp/archives/4800




 少し、町を歩いてみた。銚子に似ていた。銚子というか、銚子電鉄の最果ての町に。しかし、こちらにはあまり坂がない。

 心理テスト。
 ◯見えた→あなたは深層心理に性的なコンプレックスがあります。カウンセリングをおすすめします。
 ×見えない→あなたは深層心理に性的なコンプレックスがあります。カウンセリングをおすすめします。

 一本で十分ですよ、とスシマスターはささやいた。

 足を怪我したばかりの猫はみゃあみゃあと泣き止まない。
 「痛いよ、痛いよって言ってるんだよ」

 帰り道、光より速い京急、車窓から赤方偏移で町が真っ赤に見え……、おれはシャッターを切りつつ眠りに落ちた。仮寝は一億年続き、おれはいまここに帰ってきた。横浜市中区はまだ若く、はじまったばかりだった。
 おしまい。

>゜))彡>゜))彡>゜))彡(←ところで、この魚を仕切り線にしてるのは、自宅で書いているときです)

……銚子。というか、ある種の警戒心を発揮しすぎて「銚子」の二文字をテキストデータとして一回も使っていないので、検索しても出てこなくてどうしようかと思った。

……このときは城ヶ島大橋への入り口がよくわからないのでスルーした。その後、一回自転車で橋を渡って行ったはずなのだけれども(橋を旧車會みたいのが走っていくのに遭遇したし、どこに自転車駐めていいかわかんなかったし、みたいな記憶はあるんだ)、その写真も日記もない。そんなことがあるんだろうか……?(←日記を書いてない時期がある程度あることを完全に忘れてる)