『満喫漫玉日記 深夜便』を読む

 桜玉吉の新刊が出た。と、知ったのは発売日だった。Amazonで買おうとしたら、Amazonがおすすめしていたためか(参考までにプリントアウトすべき)入荷待ちのような状態だった。楽天ブックスで買って今日届いた。昼休みに読んで、帰ってからまた読んだ。
 桜玉吉とおれ。まえに書いたからいいか。

 ……といっても、もう1年と半年くらい経っている。結局、おれはビームを買うようにならなかった。ピアスの穴は一つ増えた。躁うつ病の薬を処方されるようになった。30代も後半に入ろうとしている。桜玉吉が恥も忍べるお年頃になった38歳に近い。やはりまた、桜玉吉を小学生時代に読み始めてからの、おれの空虚な年月を思わずにはいられない。
 『深夜便』は比較的地味な作品集だ。思わず吹き出すところといえば、「3.11金曜日」の「このソフトオンデマンド好き!」と「あとがき」の「スキマから……」くらいだろう。けれども、なにかこうしっとり? じっくり? よくわからないが、各作品に通底するメロウなビートがあっていい感じだ。ちょっと落ち着きすぎかもしれないが、復帰戦なのだし、これでいい。相変わらずちょっと出てくる女の子はかわいいし、ぬめっとしたエロ(「銀河追想」!)も健在なのだし。
 いや、なによりも、

このコミックスの発売を記念して
玉吉先生の大ファンでいらっしゃる
石黒正数先生のトリビュートイラストカードをプレゼント。

http://www.comiczin.jp/info/comic/index.cgi?no=2990

 で、石黒正数先生(おれは石黒正数の単行本もすべてもっている。自分の好きなものが好きなものにつながっているとすこしうれしい)が書いているように、「玉吉さんが何か描いている。それだけでしあわせだ。」。これに尽きる……といっては表現者に対して失礼かもしれない。だが、そういうところもある。そういうところもある上に、おれはやはり『深夜便』も好きだ。「グレー・スケール」の最後のコマの玉吉さんが好きだ。悪くない。
 あるいは、30年なら30年生きてきて、その半分以上をファンとして過ごしてきた人間の、ささやかなしあわせかもしれない。桜玉吉50さい、今後も目が離せない。というか、来月さっそくまた出すのか。

 あと、ささやかで関係ないけれども、「株式会社KADOKAWA」に桜玉吉という組み合わせにちょっと違和感あった。それだけ。

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……うまく表現しにくいが、ずっとファンだったので特別な箱に入っているという意味では、おれの中でsuedeと玉吉は一緒だ。どちらも長い長い休止があるのも似ている。だからといって通じるものがあるかは知らない。