阿部芙蓉美ばかり聴いている


 ラジオから流れてきた「革命前夜」という曲をいたく気に入りそればかり聴いていた。そればかり聴いていてもなんなので、『ブルーズ』と『沈黙の恋人』のアルバム二枚を手に入れて、やはり繰り返し聴いている。

 おれは阿部芙蓉美がどんな出自で、音楽界でどんなポジションにいるのかてんで知らない。有名なのか無名なのか知る人ぞ知るなのかどうか。そんなこっちゃどうでもいい。音楽があって細い管を通じておれの耳に伝わるものがあって、それで十分だ。
 二枚のうちでは『沈黙の恋人』の方がとくに気に入っている。「highway,highway」といいながら車はない。くるりの「ハイウェイ」か。パールを求めてハイウェイを走るのもいいが、車もないのにハイウェイに思いが行くところがいい。おれも車はない。

ずっと遠く続くhighway
いつも地上を踏みしめて見上げてるだけ

沈黙の恋人

沈黙の恋人

ブルーズ

ブルーズ