くるり × Tele @KT Zepp Yokohama ミュージックフリークスに年齢なんて関係ない!

「くるり、次のライブありますね。みなとみらいですよ。ツーマンライブらしいです。相手は……Tele? なんかSpotifyとかで人気ある若い人みたいです」

「若い人ばっかりだったら気後れするね」

「じゃあ、あれだ、まだ二階指定席あるから、そっちにしてみますか」

……などという会話を女の人とかわして、その場でクレジットカード取り出して予約行為をしたのは、昨年末のZeppDiverCity、くるりのライブが始まる直前のことであった。

 

たぶん、そのときはTeleさんの公式サイトなんかもなかったと思う。そんでもって、2月になった。音楽を「予習」と表現するのはあまり好きではないが、やはり事前に聴いておいたほうがおもしろいだろう。

 

それでおれはTeleさんを聴き始めたのだが、「いいじゃないか」というのが率直な感想だった。ツーマン・ライブ。おれの心のロックスターであるスウェードとマニックスの来日公演。おれは2023年になってマニックスを「予習」してみたが、いまいちピンとこなかった。

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だが、Teleさんはいいな、と思った。なんかピンとくるところがあった。とくに「金星」という曲が気に入った。「金星」聴けたらいいな、とか思った。まあ、やるだろうけど。

Tele | 金星 - Music Video - YouTube

 

というわけで、おれは「ひょっとしたらTeleさんは大物になるのでは? というか、もう武道館ソロライブ決まってるし」とか思いつつ、それにしてはネット上で情報が少ないなというのもミステリアスな存在であった。ライブにいけばなにかわかるのではないか。事前にXなどフォローしてみると、くるりが好きそうだというポストはあった。しかしなんだろうか、あまりにも年齢差があるのではないか。ファンが被っていることはあるのだろうか。そのあたりは想像がつかなかった。

 

とかなんとか言っているあいだにKT Zepp Yokohamaに着いた。おれのアパートから歩けない距離でもないところでライブが見られるのだから、都市にへばりついていて悪いこともない。とはいえ、みなとみらいのこっち側に来るのも久しぶりだ。横浜美術館もずっと休館しているしな。うん、このZeppもそうだけど、ビルとか増えてる。たぶん、すごく。

 

指定席なのでとくに急ぐこともなく到着。さて、ファン層はどうなのだろうか。いや、なんで気にするのか。いや、おれはもう今年45歳になる。一緒に来ている女の人は、おれより20歳年上だ。そりゃあ、もう、20代のファンのなかで体を揺らすには歳をとりすぎている。そういう感じはある。くるり単独であれば、そうでもないのだけれど。

 

で、二階指定席。このZeppに来るのも当然初めてだが、わりと余裕のある座席。ポジションはなんとど真ん中。どのくらいど真ん中かというと、ボーカルとおれが一直線、くらいのど真ん中。しかも、自分の前の席は背の高くない女性だったので、すごく見やすい。もちろん遠いが、これはこれで悪くない。おれはビールを飲んで開演を待った。ところで、どっちが先にやるのだろうか? なんとなくキャリア的にTeleさん先だという気はする。でも、もし、Teleさん先にやって、それが終わってTeleさんファンがぞろぞろ帰ってしまったらどうしよう? そんな余計な心配をするくるりファンのおれ。

 

して、ライブ開演。やはりTeleさん先。あ、さっきから「Teleさん」ってなんか「さん」付けしてるけど、自分のなかの呼びやすさみたいなもので、とくに意味はないです。「Teleくん」でもいいけど、なんとなく「さん」で。

 

で、あれだ、音源とかMVとかの印象以上に、Teleさんはロックロックしてるロッカーなんだな、という印象を受けた。ソロプロジェクトなのでバンドと言っていいのかわからんが、そういう音だった。

 

そんでもって、さすがに若いし、ステージを右から左と小気味よく動き回る。ギターを弾くこともあれば、マイクオンリーのこともある半分半分くらいか。高くて繊細な声と、ときに入れてくる骨太なシャウト。おもしろい。そんでもって、おれには音楽のことはよくわからないが、転調というのかなんというのか、一曲の間でもガラッと変化をつけてきて、そこもいいよな。

 

いいといえば、歌詞がいいと評判なんだけど、ライブの音だと勢いまさりなところがあって、ほとんど「予習」していなかった女の人は「わからない部分があった」と言っていた。まあ、そうかも。「詩的」という言葉があっているのかわからないが、言葉に凝っているアーティストなので。おれはそのあたりも好きなんだけど。

 

で、MC。なんかもうたまらん、って感情を率直に言ってきた。そんで、会場のミュージックフリークスのみなさん、みたいなこと言った。それ聞いて、「まあ、くるり×Teleに来るのはミュージックフリークスかもな」とか思った。そんでもって、「もう今日は喋りません、それがリスペクトだと思うので!」とか言って、ミュージックに戻っていった。あとから思えば、この「ミュージックフリークス」って、くるりの「ワールズエンド・スーパーノヴァ」の歌詞からなのかと思った。ドゥルスパンパン。

 

そんでもって、「初恋」の最初のブーブー言うノイズと照明の演出とかよかったし、おれ的には「金星」いいなって思ったりして……。貴重なもん見てるかもしれないとか思った。やっぱりあれだな、「ホムンクルス」、「初恋」、「Veranda」、「金星」、「鯨の子」……って、ほとんどかよって感じだけど、「これYouTubeで見たやつ」という曲は存在感あるな。

 

しかしなんだね、Teleさんは煽ってくるね。ハンドクラップ要求に、「声出せ」言って、「そんなんじゃ存在してないのと一緒だ」みたいに言ったり。イケイケというと違うかもしれないけど、踊らない夜はいらないみたいな感じなんよ。あげていこうって煽るんよ。それもなんかMVとかの雰囲気とは違うなと思った。ライブじゃなきゃわからんところだ。

 

いやね、もう年寄りの語りになるけど、若いっていいよなとか思った。もうさ、同世代とかちょっと上くらいにTeleさんいたら、そりゃファンになるよって思うよ。いや、べつにえらい年上のおれがファンになったっていいんだろうけど。

 

そんでもって、Teleさんの出番が終わった。60分の間にずいぶん詰め込まれていたように感じるステージだった。

 

で、ステージ交代で休憩。そのあいだ、お手洗いに行く。行ったら、混んでいた。男性も、女性も。ひょっとして、120分の単独ライブとかって、みんなけっこう我慢してんのかな? などと余計なことを思う。

 

席に戻ってみると、おれの右の席にいた大柄な男性がいなくなっていた。あと、隣の女の人の前の席の人も。Teleさん聴いて帰ったのだろうか? いや、あくまで見た目の年齢層的な決めつけだが、くるりメーンで来ていて、フロアに行ったんじゃないか。それがオーケーなのかどうかわからんが、そんな気がした。いずれにせよ、右から少し感じていた圧迫感がなくなって、ますますいい席、になった。

 

そして、くるりがはじまった。よかった、お客さんは減っていない感じだし、拍手も多い。今日のドラムスはだれだろう。石若駿さん? いや、違う、あれは、あらきゆうこさんだ(あとからXで知ったが事前に公開されている情報だった)。ギターとキーボードはいつもの二人。

 

さあ、今日はなにをやるのだろう。まえにフェスで見たときは、シングル級の名曲を連発してきた。ツーマンだとどうだ。わからんが、有名曲でくるのでは? と、おれは思った。はじまりは「ブレーメン」。さあ、どっち? と、思ったら、次に「コンチネンタル」で、「dancing shoes」(踊りたいのに踊れない)で、「チアノーゼ」(腐った心臓に穴が開く)。あまりライブではやらない曲できたかな、と思った。けど、終わったあとに女の人は「やっぱり知ってる曲できたね」と言っていた。正直、おれが女の人にくるりをすすめたのだが、いまはもう女の人のほうがくるりマニアだ。そんで、「春風」。ひさびさにライブで聴いたかな。異様に暖かい今日にふさわしい曲だ。でもって、「上海蟹」。指をカニピースにする人も見えたので、くるりファンいてよかったとかよけいなことを思う。もう「上海蟹」はライブのレギュラー曲だけど、最近は岸田さんがラップスタイル(?)ではなく、ギター弾きながらスタイルになったな。

 

で、MC。やはりベテランはMCだ。そんでTeleさんの話になる。そうだ、Teleさんのことを知りたいのだ。まだWikipediaの項目もない。Teleさんの本名は? Teleさんの年齢は? いや、そんなことは話さない。「Teleさん、いっつも靴下がズレてるね」。

 

え、そんなん知らん。知らんが、いつも右と左で違う靴下を履いているらしい。これでなんか客席と対話(?)していたが、客席の声はよく聴こえなかった(追記:その客席の人、Teleさん本人だったとXで見たが、マジか?)。ともかく、Teleさんはそういうスタイルらしい。Teleとは、靴下がズレているミュージシャン。勉強になった。

 

あとは、年齢のことだ。「23歳だって」。「近いやん」。客席から笑い。「小3から自分らの曲聴いてたらしいで」。「おれらが小6のころか」。いやはや。3学年差か。しかし、小3で23歳だと15年前くらい? 2003年くらい? くるりのアルバムだと『アンテナ』くらい。くるりのベテランじゃねえか。……とか思っていたら、ライブ後のXで佐藤さんが「小1だった」と訂正していたので、「ワールズエンド・スーパーノヴァ」くらい? とすると、おれがくるり聴き始めたのが「ワールズエンド・スーパーノヴァ」からだったので、20年の年齢差でくるり同期なんか。いやはや。

 

そしてライブは続く。『感覚は道標』から「California coconuts」。おれは朝シャワーを浴びながら、なんとなく「California coconuts」聴きたいなと思っていたので、やっていたのはうれしかった。ひょっとしたら、ドラムスが森信行でないのに……と思った人もいるかもしれない。しかし、おれはそこまで古参ではないので、そうは思わない。あのときの三人の演奏は、それはそれで完結していたのだ。そして、「In Your Life」。

 

しかしなんだな、なんかドラムの推進力がすごいな。石若さんとも森さんともクリフ・アーモンドとも違う。力強いといえばクリフ・アーモンドだが、なんかそれとも違う。あらきゆうこさんのドラムにはなにか推進力がある。そんな印象を受けた。たんに箱の音響の違いという可能性もある。おれに音楽を聴き分ける耳はない。でも、なんか。

 

そんでもって、「くるりでした」といって最後の曲。え、もう終わり? というのが正直なところ。上海蟹を食べるときはそんなん歌ってたなって思い出してくださいと言っていたが、くるりを聴いたのを覚えておいてくださいってやったのが「Remember me」。ライブで聴くのはひさびさかも? いや、「東京」も「ばらの花」も「ワンダーフォゲル」も「ワールズエンド・スーパーノヴァ」も「ロックンロール」もやらんかったけど、これがラストなら納得だ。

 

……でも、アンコールがある。ツーマンライブでもアンコールはあるようだ。拍手に応えて再登場。一曲やります、と。それでやったのが「ハイウェイ」。これもおれが大好きな曲。それでもって、なにがどうとは言えないけれど、今までライブで聴いてきた「ハイウェイ」のなかでも一番いいんじゃないかという「ハイウェイ」だった。「ハイウェイ」はいい曲なんだけど、とくにいい「ハイウェイ」だった。

くるり - ハイウェイ - YouTube

「やっぱり60分だと物足りないかな」とか思っていたけど、最後の「ハイウェイ」でなんか満足した。

 

そして、ライブは終わった。あまりライブの感想で「よくなかったこと」を書きたくないけど、一つだけ。それは、女の人の前の席とその前の席がくるりの番になって空席になってすごく見やすくなったと思ったら、そのさきの方、先頭の方の座席の帽子かぶった女性が立ち上がったのだ。二階指定席で、一人立ち上がる。ど真ん中。それで、もう女の人は岸田さんがまったく見えなくなった。MCのときにそう言われて、おれは席を代わった。うん、たしかにまったくかぶって正面中央が見えない。その人はくるりにノリノリなので体を揺らすので、その逆をついて体を揺らしてみたりするが、やっぱりなんかちょっとストレスよな。いや、けっこうストレスよな。で、その人の真後ろの席は空席になっていて、真後ろから「ちょっと見えないです」ってやる人もいないし、「スタッフ注意しないかな」とか思っていてもそんなことなかったし、あれはやめてほしかったな。立って踊りたいならフロア行けって、でも、そんなん後ろのほうから伝える方法もないし、どうしようもなかったわ。うーん、あまりライブの作法にくわしいわけじゃないけど、座席指定席ではみんながみんな立ち上がらないかぎり、立たないでほしいな。

 

まあ、そんでもライブは全体的に楽しかったのでよし。Teleさんをこの目に刻んだのもよし。結局、音楽に年齢差なんて関係ねえんだよ。プログレの大物ミュージシャンの来日公演を生で見ていた女の人も、くるり以外ライブ行ったことのないおれも、5学年差のくるりとTeleも、みんないつも考えて忘れて、どこまでも行けるんだよ。いい夜だった。

……と、言いたいところだが、雨が降る。いや、そういう予想は前日から出ていて、「ライブに行くための小さいバッグに折り畳み傘入れなきゃ」って思っていた。思っていたのに忘れた。忘れて、なんかウェザーニュースはもう降雨になってる。が、Zeppから出てみたら雨降ってないな。歩いて桜木町駅へ。距離的には横浜駅のほうが近いかもしれないが、われわれ下りでなんか逆方向行くの抵抗あるし、桜木町方面のほうをよく知っているので。

でもって、おれは関内で降りて、会社に寄って自転車を拾って乗って帰った。前の日に、不具合があって自転車のカゴを外したので、乗り心地が違う。カゴのぶん軽くなっていたし、段差とかで「ガチャン」とならず、地面に吸い付くような感じが新鮮ですらある。

帰宅して、完全栄養食のパンとカレーメシを食べていたら、外から雨音が聞こえてきた。そんな日だった。