
- 作者: チャイナ・ミエヴィル,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
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- 作者: チャイナミエヴィル,内田昌之
- 出版社/メーカー: 早川書房
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「こんな言語はありえないと思ったことはないか、アヴィス? あ、り、え、な、い。まるで筋がとおらないんだ。多義性というものがない。単語はなにも意味しない――指示対象そのものなんだ。知性を有しながら記号言語をもたないなんてことがありえるか? 彼らの数字はどんなふうに機能するんだ? まるで筋がとおらない。しかも大使は双子で、ひとりの人間じゃない。彼らがゲンゴを話すとき、その背後にある精神はひとつじゃないんだ」
とはいえ、ハードにハードに言語学(いまのところ我ら地球人類の、ということになるだろうが)を突き詰めていく話ではない。人間のドラマであり、パニック・アクションであり、あるいはファーストコンタクトものといっていいかもしれない。
そしてこの作品……「面白い|面白くない」なあというのが感想。舞台設定や都市のギミック、小さなガジェットは興味深いし、なによりアリエカ人の設定が面白い。ドラマもある。
が、しかし、なにかこう決定的に……真面目すぎんだよなという。こう、なんていうんだろうね、設定だけ見りゃなんかP.K.ディックっぽさもあるんだけど、なにか決定的に違う。なにかというか、『言語都市』の登場人物は主人公はじめスマートすぎるんだ。なんかダメさが足りない。世界にくだらなさが足りない。マッチョなんだよ、なんか。なにか、とか、なんかばっかり言ってるけど、ああそうだ、おれには感覚的にフィットしねえなあという。かといって、決定的なミスやつまらないところを指摘しろと言われても困る。逆に完璧すぎるんだ。そうじゃなきゃなんとか賞だって獲れないだろうし、ル=グウィンが絶賛したりしねえだろう。ある文化の別の文化への介入、ある言語の別の言語への介入、齟齬、対立、理解……、そんなものを見事な舞台に見事に描いてますよ、ええ。けどまあ、おれにゃもうちょっとだらしなさが欲しかった。あるいは、もっとガチガチのハードSFにしてほしかったかのどっちか……それともアイディアの切れ味一閃で短編とか。
というわけで、わりと読むのに時間がかかった。縦長の書籍(「新★ハヤカワ・SF・シリーズ」?)も手になじまなかった。ミエヴィルは読める作家だけれども、好きな(偏愛できる)作家というわけじゃねえなあというような印象が残った。そんなところ。
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- 作者: チャイナ・ミエヴィル,日暮 雅通
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- 作者: 石川九楊
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