東京都庭園美術館『マスク展』に行く


 東京都庭園美術館なるものが存在するものとは知らなかった。女に誘われて行くことになった。鳥獣戯画? 混んでいるんでしょう? 大英博物館展? 毛(一字削除)の泥棒が! ……ということもあってかどうか。ともあれ、「スパゲッティ ダン」である。適当な店に入ろうとしたら休日はランチをやっていないらしく、振り返ってみたらあった店だ。なにかいい感じに混んでいるようなので、悪くはないのだろうと入ってみた。

 とにかくタラコ、明太子となにかの組み合わせが大量にある独特のメニューである。たくあんが添えられているのも独特である。なにかこう、『孤独のグルメ』っぽさのある店である。カウンターに座ったが、調理の様子もまるわかりである。となりのお客さんが食べていたトマトサラダが美味しそうだった。量としては「女性も大盛りをどうぞ」と書いてあったとおり、大盛りでもよかったかもしれない。パスタに大根おろしがよく合うことを知った。

 『マスク展』の話じゃあないの。とはいえ、おれにマスクの知識はない。フランス国立ケ・ブランリ美術館も知らない。ともかく、世界のマスクを集めましたと言われたら、じゃあマスクを見ましょうというところである。どんなマスク? といえば、アフリカ、オセアニア、アジアなどの原住民のマスクが揃っている。わかりやすく言えば、水木しげるが好みそう、というところである。水木先生がそのままなんかの妖怪にしそうなマスク揃いである。「どうやって覆るの?」という大物もあれば、現代芸術みたいな、いかしたやつもある。しかし、どうせなら西洋のマスクまで網羅してみりゃいいのに、という思いもあり(映像のところにドイツの謎の祭り動画が放映されていたけど)。解説文も無駄に詳しく、わりと時間をかけて観たといったところ。しかし、どうしても裏面を確かめたくなるのはなんなのかね。ビハインドザマスクが気になるのは人の性分かね。ビハインドってそういう意味違うか。まあいい。とくに面白いと思ったのは……なんだっけな。なんかリストとか持ってねえな。なんかアフリカの両面のやつと、メキシコのなにかが面白かった。あと、映像で、マスクをしたというか、妖精みたいな格好の二人組が女性に近づいて、女性が妙なバックステップをするやつがあって、ブラジルかな、なんか毎日そんなんして遊んでんのかなとか勝手に想像して、犬とか出てきたら、その犬を横から出てきたおっさんが馬をゲート入りさせるための鞭みたいなので打ったところが笑えた。なに言ってるかわかんねえだろ。おれもわからなくなってきた。そんなところ。
 というか、こう世界のマスクが集められると、中の人込みで集めたいとか思っちゃうよな。お互いのこととか全然知らせないで、こう、なんかけんか祭りみたいにすんの。おれもなんか発想が植民地を持つどっかヨーロッパの国王みたいかな。でも、アフリカのあの仮面とナマハゲ(今回ナマハゲはいませんでした。能面はあったけど)の対決とか。いや、なにが勝ち負けかわからんが。
 まあ、そんなわけで、それなりに楽しかったかな。わりと入場客も多かったように思うけど、さてどんなところだろうか。

 と、忘れちゃいけないのが、この美術館の建物自体なんだった。旧朝香宮邸、アール・デコの館。ルネ・ラリックのサイン入り入り口扉(現在は実用されてない)からなにから、なんか見どころありで。いや、美術館としては小ぶりなんだけど、そこがなんか不思議な感じでね。で、今回のアフリカのマスクなんかがアール・デコの書庫だの書斎だのに置かれてる不思議な感じというのはなんかあったな、うん。

 まあ、中は撮影禁止なんだけどさ。



 庭園の方は半分くらいまだ未公開整備中だったけど、入れるところはきちんとしていて心地よい感じだった。カシワバアジサイだのなんだのが咲いていた。大きな古木なんかもあって、歴史を感じさせた。まあ、庭園だけでも入場料(100円)とるだけはあるというか。芝生になんかひいて寝っ転がってる人なんかもいて、なんか公園としての趣旨とはちげえような気はしたけど、気持ちよさそうではあった。
 ま、そんなところ。おしまい。