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というわけで『伏』である。人編に犬で「伏」である。まあそういう話である。鉄砲は男根のメタファー、鼻血は初潮のメタファー、か、どうかは知らん。話はだいたい最初の方に見えてくる。結局そういうことになる。でもまあ、それほど悪くない感じはする。
江戸をモデルにしたニセ江戸の風景は悪くない。とくに、実際の江戸が当時世界最高の園芸都市であったということを感じさせるような描写がいい。フジとサクラの咲く時期だって、まあ、そういうこともあろうか。あとは二回くらい出てきた坂道の景色がよかったか。
それでもって、こういう映画にありがちな、本業声優以外の声優起用というものもある。Charaはどうかというと、どうも浮いてしまっている。むしろ、遊女役あたりならなにか「あり」だったかもしれないが、どうもこれはよくない。そして、桂歌丸である。江戸の話で老滝沢馬琴役というのだから、外れないような印象はある。が、しかし、どうもこれも浮いている。目をつぶってみれば、何役も一人で演じ分ける落語家の、その丁寧な仕事という印象はあるものの、アニメーションに合わせてみるとどうもよくない。これは意外ではあった。一方で、劇団ひとりはどこに出ていたの? というあたりだから、このあたりの向き不向きはわからないものである。
わりとよく出来ているんじゃないか、というのが感想ではある。が、もう一つ文句を言わせてもらえば、手紙である。水樹奈々が息子に宛てた手紙である(役名を書かないのはおれの悪いクセである)。これの本文が映るのだが、手書きじゃあないのである。それらしいフォントを使っている。一発でわかる。これには興ざめである。べつに書道の先生に頼まなくてもいいから、変体仮名でなくてもいいから、筆ペンかなんかでそれらしく書けばいいじゃないの。同じ文字が同じ文字ってのは、見ようによっちゃ不自然なんだぜ。観客に内容を読ませたい、というのがあったのかもしれないが、しかしやっぱり手抜きに見えちまう。手紙は本作でもわりと重要な部分だから、なにかどうにかならないのかと思えてならない。
文句はそんなところで、Charaのエンディングにしたって悪くないし、水樹奈々の最期(役名で書かないのは以下略)とかわりといいぜ、いいんだぜ。まあしかし、徳川家定がいきなりああなるあたりの説明不足感は否めないし、そのへんの不出来な感じというのはなにかアニメ映画につきもののような気はするが。
む、なにか、文句が多くなってしまったな。どちらかといえばポジティブな、悪くない代物だったぜ。なんかそういうの伝えるの難しいね。おれはほめるのが苦手なんだ。それじゃあ。