おれは少し前に映画『そこのみにて光輝く』を観た。
かなりいい映画だった。そして、『海炭市叙景』のときと同じく、原作も読まねばと思った。思ったから読んだ。

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原作は24年前のバブルの時期にかかれていて、達夫は会社のストライキで仕事を辞めたという設定ですが、今はストライキ自体ほぼないですものね
『そこのみにて光輝く』呉美保監督インタビュー
ということだ。そのほかにもいろいろの組み換えが行われていることに気づく。映画で拓児が達夫にあげる花はホタルブクロだったが、小説ではミネズオウ(ミネゾウ)だったりする。まあ、それはどうでもいいが、いろいろの改変、再編集が映画によって行われているのに気づく。そして、それのどれも的確で、話をきちんと構成させていると思う。思わずにはいられない。それは上に引用した時代背景などの問題にとどまるところではない。映像作品と小説とを比べるのはなにか不毛なことかもしれないが、正直なところ映画がすばらしい構成になっている。優れているといってもいい。おれはそう思った。
とはいえ、小説は文章でできている。ハッとするような場面も少なくない。
誰かが追いかけて来る足音が聞こえた。拓児だろうと思った。振返ると千夏だったので、まぶしかった。大急ぎで追いかけて来たのだろう。花柄のブラウスのボタンをはめながら、草の中に入って来る。達夫は、外へ一歩出た時から、拓児の家を見捨てるように歩いて来た、と思った。
いい小説だ。ただ、映画が良すぎる。もちろん、その背骨を作り上げたのは佐藤泰志だ。土台を作り上げたのは佐藤泰志だ。バブルの時代にこれを書いていたというのがすごい。そういうことなのだ。そして、映画化は本当に成功したといっていいだろう。おれにはそれ以上のことは言えない。
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