前田智徳氏「入団時からギリギリの瀬戸際だった選手。守備や走塁の力があったわけじゃない。打たなければ終わりの選手が、打力だけで2000安打まで到達したのだから、ものすごいことだと思います」
新井はあまり期待されないで入団した選手だったという。しかし、背番号は25をもらっている。主力選手の番号といっていい。おれにとってのカープの背番号25は、やはり新井貴浩のものだ。シーボルも石井琢朗も応援したが、やはり、新井の背番号なのだった。
その新井が、紆余曲折を経て、広島カープの背番号25を背負って2,000本安打を達成した。「紆余曲折」についてはあまり語りたくない。おれにとって阪神時代の新井は存在しないも同様である。
バットが小さく見える新井(あんまり関係ないけど「デカ」こと高橋智もそうだったな)。難しい球に手を出して、甘い球を見送り、凡退する新井。いじられる新井。「新井にも東出にも野球をやっている弟がいるらしい。将来、広島の内野は新井と東出だけになるかもしれない」とか思われていた(おれくらいか?)新井。そしてなにより、ときどき空を打ち抜く大アーチを放つ新井。
正直、とてもじゃないが新井が2,000本を打つなんて考えもしなかった。十数年前のおれに言っても信じないだろう。「東出じゃなくて?」と。その東出はもう現役を退いた。ただ、新井は健在だ。堅実にスカーンとヒットを打ち抜いてきた。阪神時代のことはよくしらないが、まだまだやれるんじゃないかという元気さだ。護摩行のおかげかもしれない。
おれはカープが好きである。
おれは新井が好きである。
そういうことである。