【ネタばれあり】SF映画『パッセンジャー』

 

 

パッセンジャー (字幕版)
 

何かの映画のメディアの予告編で見て、少し気になったので観た。

人類が移住可能な惑星への移住を目指す宇宙船、乗客5千人の中でただ2人で目的地より90年早く目覚めてしまった男女の物語。

と、思っていたら、器具の不良でたったひとり目覚めてしまった男が、もうひとり女性を目覚めさせてしまうのであった。

ハードSF? といえばそうかもしれないし、甘いところがあるかもしれない。ストックホルム症候群といえばそうかもしれないし、吊橋効果といえばそうかもしれない。そこに乗れるか乗れないかでこの映画への評価はかなり左右するかもしれない。

おれはといえば、男の方は十分に償っていないし、いまいち乗れないな、というところがあった。無論、男は極限状態にある。それを鑑みてもハッピーになっちゃいけないだろう、というところがある。どうであろうか。

結局、女は、男とのふたりきりの人生を選ぶ。いろいろの予定調和があって、最後にこれである。おれの嗜好としては、これはいけなかった。女がひとりコールドスリープに戻るべきであったし、目覚めたときに指輪が捧げられるべきであった。あるいは、二人して強引にコールドスリープに入って(助けるのは改造されたバーテンダーのアンドロイドだ)、ふたりして新世界を迎えるべきではなかったのか。そのような思いが残る。

男の方はついこないだ見た『マグニフィニセント・セブン』に出ていたらしいが、よくわからなかった。女の方は『世界にひとつのプレイブック』に出ていたらしいが、よくわからなかった。この二人組が『世界にひとつの~』のカップルですよ、と言われたら、そうだったかと思ったかもしれない。

宇宙船やその船内はものすごくよくできていた。どのくらい金がかかったのか、というくらいよくできていた。「この人数に対して医療ポッドが少なすぎるのではないか」とかそういうところは置いておいて、まあよくできたものだ。逆に、ハードSF作家が恒星間宇宙船というものを描くのに、これを言葉にしなければいけないのはというのはたいへんなことであるな、と思った。

というわけで、なんというか、主人公の孤独と絶望によって選んだ選択に乗れるか乗れないか、そこに乗れるか乗れないかというあたりで評価は変わってこよう。おれは乗れなかった。そう言っておこう。どうなんだ? と思った人は観て判断しよう。以上。

 

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