まったくかなわんよな、と思った。
なにがどう「かなわん」のかはどう受け取ってもらってもかまわんのだけれど、おれはそう思った。この短編集の冒頭、「五色の舟」を読んでそう思った。それからおれは2作ほど読んで、放り出してしまった。
なぜって、まったくかなわんから。
読書いうものには、たまにこういうことがある。恥じらいもなく、嘲笑されること必至で言うに、「こんなすばらしい書き手がいるならば、おれが存在する理由もないよな」ということだ。勘違い、思い上がり、そう思ってくれて結構。けど、あまりつまびらかにはしないけれど、おれにはおれの言葉やおれの世界があって、それは形になっていないのだけれど(俺はまだ本気出してないだけ)、だれかのつくった形あるものを見てしまうと、とたんに参ってしまうのだ。
もともとおれの人生というのは白旗をあげて土下座しながら同じ場所をうろうろしているようなものだが、うろうろのうろもやめてしまうかって気持ちになってしまう。だから、そんなものからは目をそらすのがいい。あるいはおれは死者の書いたものばかり読む。それがおれの生き方だ。
なので、ともかく、まあ、津原泰水がいればいいじゃないか、と思ったのだし、みな、読んでみたらどうだろう。このおすすめには、かなりの自信がある。
しかしまあ、こんなに身を切るような恥ずかしいことを書けるおれも、ある意味でたいしたもんだろう。せめて、そのくらいはたいしたことがなければ、人間いうもの生きていけないのだ、たぶん。
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でも、なんかこのタイトルいい感じなので、読んでみようかな?