映画館、座席を指定できるなら、前で観る？ 後ろで観る？
おれは完全に「前」派だ。最前列もいとわない、前方確保派だ。なぜって、おれは背が低いので、おれとスクリーンの間に人の頭でも入ろうものなら最悪だからだ。ついでにいえば、おれは上映中にトイレに行きたくなったりしたら困るから、通路側を選ぶ癖がある。上映中にトイレに行ったことは今まで一度もないのだけれど。
まあ、そんなマイナス面よりも、せっかく高い金はらって映画を観るのだから、画面に没入するくらい目いっぱいに大きなスクリーンで楽しまなければ、損、という思いが強いのだ。視界いっぱいの映像。それぞ映画。そういう思い。
そんなおれが、上記『凪待ち』の予約のとき、なんとなく普段とは違う座席を選んでみようという気になった。なんでかはわからん。わからんが、どうせ普段と違うなら、最後列にしてみようという気になった。『凪待ち』は映像スペクタクル作品とも違うだろうし、ちょっとなんか、そんな気になったんだ。
で、最後列。おれは座席に着く。正直、スクリーンが小さいかな、と思った。思ったのだけれど、予告、CMが始まって思った。「あれ、音がよくないか？」。
そうだ、おれは映像のことばかり考えていたのだけれど、音というものがある。そしておそらくは、音の一番いいところを最前列などにあわせてはいないのだろう。推測に過ぎないのだけれど、後ろのほうが音がいい。いや、いいんじゃないのかな。たぶん、いいような気がする。おれはそう思った。
そして本編が始まった。悪くない。なんというのか、すごくいいホームシアターで見ているような気になった。視界の全部が映画、というのではなく、ちょっと引いた感じ。なにか、こう、心の余裕というのか、落ち着きというのか、そういうものを感じた。いや、おれはホームシアターというもので映画を観たりしたことはないのだけれど、なんかこう、落ち着くんだ。わかってくれ。そのうえ、音がいいやん？
というわけで、おれは「映画館で最後列も悪くない」という体験をした。が、これも傾斜がちゃんとあるブルク13などでのことであって、たとえばあまり傾斜のないシネマ・ジャック＆ベティなどでは、前の方を選ぶべきだろう。
というか、最後列でなく、早々と座席が埋まっていく、中央、やや後方あたりがベストポジションなのかもしれない。いずれにせよ、今後は前か後ろか、少し悩みながら座席を予約することになるだろう。そんなに映画に行けるかわからんけどね。
