新しい宇宙世紀の「ガンダム」! 映画『閃光のハサウェイ』を観る!

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なんとなくネットに評判のよいヴァイブスが広がっているのを感じて、おれは『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』を観に行った。なぜか当日からの予約のみで、一切の割引設定無しという上映だった。

映画には一人で行った。女はガンダムを知らぬ。ガンダム知らずを連れていけるようなものではない、『閃光のハサウェイ』は。一方で、女はおれが『スターウォーズ』知らずなので、新作などにおれを誘うこともなく勝手に行って観る。そんなものだ。

閃光のハサウェイ』とおれ。おれと『閃光のハサウェイ』。RX79年生まれのおれは原作を読んでいる。ただし、三十年くらい前のことだ。ガンダムの小説版を買っていたのはおれではない、母だ。母はリアルタイムの『機動戦士ガンダム』ファンだったのか。違う。おれと弟が何度目かの再放送を観るのにつきあって興味を持ち、1stからZ、ZZから逆シャアと小説版を買い揃えた。アニメファンでも、SFファンでもない。読書傾向は完全にミステリーである。なぜか、富野由悠季と波長が合ったのだろう。『ガイア・ギア』まで読んでいた。そして、その小説版、対象年齢的にどうかという小説を小学生のおれは読んだ。ちなみに、七十歳を超えた母は、弟が『THE ORIGIN』のアニメを観るのを一緒に面白がって観たという。すごいな。

話を映画『閃光のハサウェイ』に戻す。なにかをほめるのになにかを落とす必要はないと思うが、どうしても比較してしまう、ということもある。比較せずにはおられない、ということもある。というわけで、おれはあらためて『機動戦士ガンダムUC』に乗れなかったな、と書かねばならない。

おれとて宇宙世紀世代のガンダム好きである。ガンダムを生業(生きる業)としているわけでもないし、マニアというほど詳しくない(グワジン級は何艦あるのか?)。ただ、同時代アニメとして観てきた。そりゃあ『UC』でマラサイがガブスレイのフェダーイン・ライフルを持っていたら興奮するくらいには「その世代」だが、『UC』はなんというか、そういうおれらにこういうもの与えておけばいいだろう、という気がしてならなかった。一方で、モビルスーツとしての「ガンダム」はどんどんスーパーロボット的になっていった。描写が大仰でリアルさを欠いていった。ニュータイプがより強力な超能力者になっていった。なんだかそんな印象がある。成長したミネバ様を見られたのはよかったが、それ以外になにか残るものはなかった。

と、『閃光のハサウェイ』をほめる前に、『UC』ディスから入ってしまった。が、おれが『UC』について抱いていた不満をひっくり返して出てきたもののいくらかが、『閃光のハサウェイ』の第一部の満足だ。なんとなく、そういう感じを受けた。そして、そこに現代的アニメの、現代的な描写がはまっている。市街地戦の迫力ときたらそれはもうすごいもので、モビルスーツのでかさ、質量感というものが劇場のスクリーンに展開される。これ、映画館で観たほうがいいって! 

そして、ストーリーだ。というか、おれはストーリーについて、三十年前に読んだ小説のラストしか覚えていない。そこに至る過程を覚えていない。だから、ハサウェイ・ノアがどのような心境で、どのような行動を選ぶのか。ギギ・アンダルシアはどのような少女だったのか。実に新鮮である。

が、やはりそこは宇宙世紀シリーズの話であって、ブライト・ノアもシャアもアムロもクエスも知らねばならぬ。あ、劇場版の『逆シャア』からつながってるんだっけ。小説版の『逆シャア』(サザビーじゃなくナイチンゲールが出る方)ではなく、劇場の続きか。まあどうでもいい。そうだな、「知らねばならぬ」なのかどうか、あるていど知っているおれには言い切れるかどうかわからない。わからないけれど、やっぱり基礎として「人が宇宙に出てコロニーで暮らすようになって……」というところは知らないときついかな。

まあともかく、そのガンダム宇宙世紀に地に足がついているという感じがした。おれが『UC』を観て「宇宙世紀ガンダムの続きだ!」という思いを抱けなかったのとは違い、「ガンダムの続きだ!」と思った。監督は富野由悠季ではないが、これは正統だという感じがした。なにが正統だの、くだらない話だし、そんなものは『ターンエー』で終わったものかと思うが、それでも、これは新しいし、正統だ。スクリーンに魅入っていたいたら、あっという間に終わってしまった。

これからペーネロペーとクスィーが「スーパーロボット化」(べつにスーパーロボットをおとしめているわけではない、一応)してしまうのかもしれないし、違うかも知れない。それでも、リアルで地に足がついて宇宙世紀で表現が新しくすばらしい『閃光のハサウェイ』、あと二部、観られるものならぜったいに映画館に足を運ぶと誓った次第である。

あと、特典でついてきた劇場版『Gのレコンギスタ』の第1部と第2部も観よう。消化不良というか、消化できなかったので、劇場版であらためて。

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ちなみに、特典についてきたフィルムは、『逆シャア』の一場面だった。左側にレズン専用ギラ・ドーガが映っていて、右側にカットインのような形でレズン・シュナイダーが映っている。おれはギラ・ドーガもレズン・シュナイダーも好きなので大満足である。

 

 

 

 

↑劇場(ブルク13)にこれ飾ってあった。なんか妙だな。