今大会はいろいろなことが起こりました。これまでラグビーに興味がなかった方々も、新たに感じるものがあったのではないかと思います。そんな大会の最後に、コルビ選手が鮮やかなトライを決めたというのは、日本ラグビーにとっても大きなメッセージだったのではないかと感じています。
南アの優勝トライは日本へのメッセージ 元日本代表・藤井淳がW杯決勝を解説 - スポーツナビ
おれは「これまでラグビーに興味がなかった方」だ。第一にルールがよくわからん、第二にルールがよくわからん。
そもそもと、おれとラグビーになにか接点があったのか……あったな、高校のころの体育の授業だ。うちの学校にはラグビー部がなかった。かつて神奈川県の最底辺高校だった時代に(今では偏差値62くらいらしいが)、なにか大問題を起こし、廃部になったきりだという。ラグビーを担当した年配の体育教師は、ラグビー部の監督だかなんだかだったという話だった。小柄ながらがっしりした体格で、真面目で優しい印象だった。
とはいえ、授業でラグビーといっても数回だ。ただ、走りながら、楕円形のボールに回転をつけて、後ろにパスするというだけだった。タックルだのなんだの、危険なので授業でできるはずもない。ただ、後ろにパスする。ラグビーボールには回転を与える。覚えているのはそれだけ。
で、話は今回のラグビーワールドカップに飛ぶ。どこで読んだ記事だか忘れたが、映像の進歩によってラグビーが見やすく、わかりやすく、面白くなったという。空中を滑るカメラ、それによるアップ画像。大きくなったテレビ画面、すぐに画面の端に出る反則の説明……。これは大きかったと思う。反則の説明も、わかってる人には「うるさい」と思えたかもしれないが、素人には「今なんで試合止まったん?」ってなるし、「ノットリリースザボールやで」って言ってくれると助かる。だいたいにして、知ってる反則といえば前にパスすることと、ノックオン(これは中川家の礼二の「ノッコーン! 帝京ボール!」ネタによって知った)くらいなもので。
それで、得点についても毎回一覧表みたいなのが出るし、何十種類もあるわけじゃないから覚える。「この点差だと、ワントライ、ワンゴールで逆転やな」とかわかる。もちろん、実況、解説もあるわけで、なにを狙ってプレイしてんのか、ちょっとはわかる。わかることは楽しい。楽しいのはわかることだ。
で、映像によって、「ああ、こういうことしてんの」ってのがわかった。おれはラグビーいうもの、もっとパス回しで駆け回るものと思っていたが、あれだな、ボールもってあえて相手に突っ込んでいくもんやな。それで、タックルされて、倒れ込んだところで、後ろにボールを置く、置いたのを、ファフ・デクラークが拾って、また走ったり、パスを出したりしてゲームは進む。
この、突っ込んで、潰されて、後ろに置いて、味方に渡すという一連の流れが、おれには発見だったな。「どんな単純な発見だよ」と言われそうだが、そうなのだからしょうがない。これも、カメラがズームして、選手が押し合いへし合いになったときも、ボールがどこにあるかわかる。「なんか置いてるな。これ、敵がぶんどったらなんかの反則なんだよな」ってなる。もう、おれにはそれだけでテレビで見るラグビーは、上々のものだった。
で、その中で、上に引用した華麗なトライなんかがあったりするのだ。そういうものなのだ。少なくとも、いまのおれにはチームの戦術というものがわからん。それどころか、「フランカー? スホーイ?」みたいなもので、ポジションがまずわかってない。なんとなくすごくごついやつとか、デクラークみたいに小さい選手がそれぞれになんらかの役割があるのだろう、ということくらいだ。
あとは、ラグビーの代名詞的状況であるスクラム。これになるのは軽い反則らしいが、そのあたりの線引はわからん。わからんし、スクラムでデクラークがポイとボールを味方側に放り込んで、それで押し合って、でもボールはこちょこちょ足で後ろに蹴られて……まあ、よくわからん。イリーガルホイールも、どっちが回してんのかどう判断してんのかわからん。わからんが、まあ、なにかしら、さらなる反則につながったりするし、押し込んで前進、ボールも前進、ということもあるので、やはり味方ボールでスクラムというのは有利なのだろう……。
まあ、そんなところだ。それにしても、優勝した南アフリカのデクラークはありがたい存在だった。長い金髪に小柄な体型が、よく目立つ。そして、「なんか揉み合いになったりしたら、後ろに構えてて、ボール拾ってんなー」ってのがよくわかった。そういう役割の選手がいるのだ。それでいいのだ。そのくらいでおもしろいのだから、ラグビーいうものはおもしろいものなのだろうし、また見る機会があったら見るかもしれんし、そうでないかもしれんし、そんなところ。