『三島由紀夫vs東大全共闘』を観る

 

 

自民党の議員から反暴力の署名を頼まれたが、生まれてから暴力を悪いと思ったことがないから断った」

自民党はもっと反動であってほしいし、共産党はもっと暴力的であってほしい」

「人間やるときにはやらんといかんと思っています」

「私は死刑反対派とまでは言いませんが、合法的に人間を殺すということは好きではありません」

「非合法の決闘の思想」

「おまわりさんに捕まる前に自殺でもなんでもしようと思う」

「近代ゴリラ、立派なゴリラになりたい」

「日本の知識人が思想というものに力があって、知識というものに力があって、人の上に立てるというのが嫌いで嫌いでしかたない」

反知性主義者として、君らがそれを壊したところは評価する」

天皇がたらふく食っているブルではないから革命がむずかしいのだ」

「かみながらの天皇

「私は諸君の熱情だけは信じます」

 

……みたいなことを三島由紀夫が言ってました。話し方も丁寧で、ユーモアのセンスもおおいにあり、「三島を殴る会」だというような雰囲気もある中で、全共闘の司会が思わず「三島先生」と呼んでしまうところなどあり。vsはvsなんだけれど、三島由紀夫の人柄の面でどこか友好的な雰囲気……といっては違うかもしれないけれど、白熱教室みたいな感じになっているところもあり。

それにしてもなんだろう、最後に三島由紀夫を読んだのは何年前だろうか。そして、今、三島由紀夫とはどのように受け取られているのだろうか。よくわからない。おれには「澁澤龍彦を通して見た三島由紀夫像」みたいなのもあって、また人と抱いているものは違うかもしれない。

この映画で一番興味深いのは三島が「天皇」について語るところであって、学習院大学主席卒業で銀時計を授与されたとき、三時間もまったく動かず座りつづけていた昭和天皇を見て敬意をいだいたという、個人的な恋闕のようなものがあると認めたり、一方で、なんというのか一部右翼が聞いたら怒ってしまうのではないかという解釈を述べたりしている。そのあたりはなんというか、直接この映画を観るべきだろうし、三島が書き残したものを読むべきろう。

全共闘側で一番存在感を放っていたのは、赤ん坊を肩車して出てきた芥正彦という人で、当時からアングラ劇団をやっていて、今もやっているようだ。しかし、インテリすぎて彼がなにを問題にして三島と言葉を交わしているのかまったくわからなかった。

ところどころで現代の内田樹瀬戸内寂聴らが話を挟むのだが、右翼側から鈴木邦男も出せばよかったのにと思ったり。でも、制作協力みたいなところに名前はあったな。あ、違うわ、当時参加していた、それこそ芥正彦ら全共闘側の人もだけど、一方で楯の会の人たちも出てきてたんだ。

まあなんだろうか、なんかみんなタバコ吸ってるなーとか、芥正彦のファッションがかっこいいなとか、映像が残ってるってのはいいなって思った。まあ、おれにはちょっと話が難しかったからわからないけど、わからない人にもおもしろいところはあると思うので、ちょっとおすすめです。

 

goldhead.hatenablog.com

 

goldhead.hatenablog.com