想像を絶する味のものと現代のコンビニで出会える確率について

ちょっとまえ、ネットでこんな飲み物が話題になっていた。

togetter.com

かなり悪評である。なかなかすてきな不味さ表現も見られる。おれはこういうのを見ると、ついつい買いたくなってしまう。

が、おれの行くスーパーやコンビニでは売ってないんだよな。「やはり味に問題があってあまり流通していないのかな?」と思ったりした。

……のだが、いつも行くコンビニ、ケースの中を探して「やはりないな」と確認したあと、おにぎりみたいな外の棚に並んでいるのを見つけてしまったのだ。しまった。買ってしまった。

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一口飲んだ。

正直に告白すると、飲み切れませんでした。これはもう、半分も飲めない。多分、四回口をつけただけ。もう、これ以上飲んだら胃が気持ち悪くなってしまう。そう思い、断腸の思いで捨てました。ごめんなさいと思いながら捨てました。捨てたシンクから香ってくるにおいも苦手でした。

でもね、おれが、食べ物、飲み物を捨てるということはほとんどないのですよ、小泉環境大臣。お酒を飲んでいて気分が悪くなったときにちょっと捨てることはありますが、まず飲食物は捨てない。出されたものは食う(というか一人暮らしなので、自分で出したり買ったりしたものですけれど)、食べ残さない。これはかなり強烈な意識としてあります。そして、わりと苦手なものが少ないというか、気にしないタイプと自負はしているのですよ。

そのおれが、味を理由に、飲み物を捨てた。自分でもショックでした。もったいないの精神に反する。しかし、これはそれを上回る……味でした。

これねえ、たぶんだけれど、「コーヒー+レモン風味」だと、ここまで大事故にはならなかったと思う。「ちょっと変」くらいで済むと思う。「レモネード」という甘酸っぱい飲み物とコーヒーを合体させてしまったところに問題があるというか。いや、それ以前の問題なのか……。

コーヒーとレモネードを混ぜた試作品を1番から10番まで作って、いちばんマシなのと、いちばんよくないのを、取り違えてしまったのではないかという。というか、これをUCCのなかで試飲会とかしたんだろうか。しても、「これはちょっと……」という意見は出なかったのか。出たとしても「行こう!」という意見が優先されたのか。コーヒーの味を追究するあまり、一般人とは違う基準ができてしまったのか。

いや、飲食物の好み、人によってずいぶん違う。ドクターペッパーなんてとてもじゃないが飲めないという人もいれば、おれのように好む人間もいる。そういう差はあります。だから、この味、香り、後味がたまらんという人もいるのでしょう。確実にいる、いるだろうけど、これについては、かなり、けっこう、やっぱり、そうとうに、少数派なんじゃないかな。

なにがなんだかわからない。大げさではなく、ちょっと衝撃だったのでした。日記に書き残すくらいには。この現代において、コンビニで買えるものにこれだけのものをぶちこんできたというのは。

「本当の美食」とは遥かに遠いレベルでしょうが、コンビニで買える飲食物のレベルは年々あがっているのだろうし(量は減っているかもしれないが)、より多く売り上げるため、より多くの人に嫌われない味になっていっているのだと思います。無難の、売れ筋を。

いや、「激辛」を銘打った食品がどのくらい振り切れているのか、おれはいまお腹を壊すので食べていないからわからないんですが。まあ、ちょっと冒険はあっても、大冒険は少ないはず。

だが、大冒険しちゃったんだよな、このコーヒー。

とはいえ、おれはその大冒険を頭から否定はしたくないんだよな。やっぱりチャレンジして新しい常識になったりするもんじゃないの。「え、ペットボトルに緑茶?」、「飲み水をコンビニで売るの?」、「いろんなお茶を混ぜちゃうの?」(十六茶とか)、たぶん冒険であったと思います。

あるいは、自分が知らないだけで、いろいろな商品が淘汰されて今がある。だから、冒険してほしいし、チャレンジしてほしい。

そして、ありきたりの、大多数の人間に嫌われないのを目的とした、ちょっとつまらなくなってしまったコンビニにおいて、たまには襲いかかってくる野生の猛獣がいるのもいいじゃないか、と。

と、なにかいい話にして、捨ててしまったコーヒー飲料の弔いとします。むろん、今後もおれは凝りもせず、「なんかこれは……」という話題の商品があったら、とりあえず買うつもりではあります。もう捨てない。たぶん。

 

以上。