今日の日の午後、仕事をサボって山下公園に行くことのできなかった人生

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今日は暇だった。年度末の繁忙期も終わりか、という感じだった。午前中は比喩でなく眠っていた。iMacの画面はブラックアウトしていた。

午後、おれは手洗いに行った。窓の外はよく晴れていて、寒くもなく、暑くもなく、丁度いい具合のように感じられた。

おれは、「こんなとき、コンビニでサンドイッチとコーヒーでも買って、山下公園あたりに行って、ベンチに座って海眺めながらボケーッとしたらいいだろうな」と思った。切実に思った。

が、おれにはそれができなかった。おれが「ちょっと体調よくないので早退します」といえば、べつにとがめられることもなく抜け出ることができただろう。「ちょっと出てきます」とでもよかっただろう。しかし、おれにはそれができなかった。

ああ、それができないのがおれの人生なのだな、と思った。仕事のほとんどない、ちょうどいい感じの午後、ちょっと山下公園までサボって行けない性質。これがおれだ。そしておれはこの性質もあって、精神を病んだのだろう。それができない。それができずに、やってもいいけど、今すぐやらなくてもいいことを抱えながら、パソコンのモニタに向かってしまう、そういう性向。

つまらん、まったくつまらん。ああ、この今日の日の午後の晴れを、山下公園で、サンドイッチとコーヒーで過ごせなかったおれよ。おれはまったく、そういう人間なのだった。